双極性障害ってどんな病気?症状や生活への影響について解説
かつては躁うつ病と呼ばれていた「双極性障害」。その症状や生活への影響はどんなものなのでしょうか。この記事では、双極性障害にまつわる様々な事柄について解説します。
※筆者は医師ではありません。この記事はインターネット上で筆者が調べたものを筆者の言葉で執筆している物なので必ずしも正しいとは限りません。双極性障害について分からないことがある場合は、必ず医師に相談するようにしてください。
双極性障害とは何か?その特徴や症状について分かりやすく解説
双極性障害という言葉を、初めて聞いたという人もいるかもしれません。双極性障害とはいったいどんなものなのでしょうか。その定義や特徴・症状などについて分かりやすく解説します。
双極性障害とは何か
双極性障害の定義を、厚生労働省のサイトより引用します。
双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
ある期間でうつ状態と躁状態が交互に繰り返される気分障害。
双極性障害はうつ病とともに、ある期間続く気分の変調により、苦痛を感じたり社会生活に支障を来す気分障害とされています。以前は「躁うつ病(そううつびょう)」と呼ばれていました。有病率は1%といわれています。
引用:双極性障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
双極性障害の特徴・症状
双極性障害の症状は、うつ状態と躁状態を繰り返すというものです。単なる気分の波なのだから、症状と呼ぶまでもないのでは?と思うかもしれませんが、この「気分の波」が厄介で、自分ではコントロールできないところに双極性障害の大変さがあります。
【うつ】
例えばうつ状態では、楽しいことがあっても気分が晴れなかったり、何に対しても興味がわかなかったりと生き辛さを感じてしまうことが多いです。うつ状態が悪化すると「消えたい」「死にたい」と思ってしまうこともあります。同時に、食欲や睡眠などの活動が極端に低調になるなどいつもとは違った身体の状態になります。
【躁】
一方で躁状態では、気分が高揚しハイテンションになっている状態がある期間続きます。気分が良いのは喜ばしいことなのでは?と思うのは間違いです。気分が良いのがエスカレートすると「今の自分は最高の自分」「今の自分が好き」「今の自分なら何でもできる」とどんどん気が大きくなっていき自分では抑えられないほど行動もエスカレートしていきます。
具体的には、大きな買い物をしたり、多弁になったり、普段はしないのに他人の悪口を言ったりと、まるで人が変わったようになってしまいます。
周りから見るとあの人は何だかおかしい、と感じ取ることができますが、本人からすると気分が良いだけなので自分が病気だとは思えず、なかなか自分から病院に行こうとはしないケースもあるようです。当の本人が病院に行く必要はないと感じている点がこの病気の厄介なところだと言えます。
双極性障害の治療
双極性障害の治療に関しては、薬物療法が一般的です。服薬していれば症状が軽く抑えられるので再発を予防することが可能です。逆に言えば、薬を飲むのを自己判断によりやめてしまうと再発する可能性が高くなります。
双極性障害はかつて躁うつ病と呼ばれていたためうつ病の一種と誤解されがちです。しかし、双極性障害とうつ病は別の病気だと考えられています。そのため、双極性障害の治療薬は抗うつ薬とは違う物が使われているそうです。
今は薬以外にも、月1回の注射(エビリファイLAI)で治療をする方法も出てきているようです。薬を飲まなくても注射だけをしていれば良いので良いことずくめだと思いがちですが、注射部位がお尻または肩の筋肉内なので苦手に感じる人もいるかもしれません。
参照:
双極性障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)
双極性障害(躁うつ病) (そうきょくせいしょうがい)とは | 済生会 (saiseikai.or.jp)
エビリファイLAIの使い方 | エビリファイLAIナビ 双極性障害版 | 大塚製薬 (abilifylai-navi.jp)
双極性障害の生活への影響は?病気と共に生きていくための方法
前述したように、双極性障害ではうつ状態と躁状態を繰り返すので、その症状から日常生活に影響が出ることも大いにあります。うつ状態と躁状態に分けて解説していきます。また、病気と共に生きていくためにはどうしたら良いかを調べてまとめてみました。
うつ状態・躁状態が日常生活に与える影響
【うつ】
- 朝起きられず、会社や学校に遅刻したり通勤・通学ができなくなったりする
- 何もやる気が起きない
- 自分は価値のない人間だと考えてしまう
- 「消えたい」「死にたい」と思う
うつ状態では、やる気が出なかったり、物事を楽しめなかったり、自分のことを価値のない人間だと感じてしまったりと、自分を取り巻くものの大半がマイナスの状態に感じるようになります。これは病気の症状によるものなのですが、うつ状態にあるとそれが分からずに悩み続けてしまいます。さらにそれが続くと、「消えたい」「死にたい」と考えて最悪の場合自殺してしまうケースもあります。
【躁】
- (躁状態の)自分のことを気に入っており自分は何でもできると思う
- 行動がエスカレートして他人に迷惑をかけることもある
- イライラして他人に攻撃する
- 世の中のことが全部分かった気になるが実際はそんなことはなく行動が伴わない
このような症状が続くと、周りの人は自分のことをマイナスに評価するようになります。周りの人も医者ではないので、自分のおかしな行動が病気によるものだということが分からないのです。周りから理解をされにくいことで、人間関係が壊れてしまったり、会社も退職せざるを得なかったり、家族関係も破綻してしまったりと日常生活に多大なる影響を与えてしまうことになります。
参照:うつ病や躁うつ病の症状の日常生活への影響は?|心療内科ブログ|名古屋.ひだまりこころクリニック金山院 (hidamarikokoro.jp)
心当たりがあったら病院へ
上記の症状に苦しんでいる人は、一刻も早く病院を受診するべきです。しかし、そうは言っても自分では病院に行く元気が無かったり、躁状態の場合は自分が病院に行く必要が無いと判断してしまっていたりするケースも多いことでしょう。そこで、身近な人に相談して一緒に病院に行ってもらうことをおすすめします。正常な判断ができる人と一緒に医師の説明を聞くことは、心強いだけでなく今後の治療を受ける上で病気の正確な理解が得られて自分の安心材料になるでしょう。
双極性障害と診断されたら薬を欠かさず飲もう
双極性障害と診断されたら、薬物療法が始まります。医師の指示通りに、薬はきちんと飲むようにしましょう。症状が良くなっても、自己判断で飲むのを止めてはいけません。薬を飲むのを止めてしまったら、病気が再発する可能性が非常に高くなります。体調が良くなったら、医師と相談しつつその後の治療法について一緒に決めるようにしましょう。
薬物療法と合わせて受けたい「認知行動療法」
認知行動療法とは、物事の捉え方(認知)と行動に働きかけることで思考のバランスを整え、ストレスを軽減する精神療法のことを指します。
例えば、2人の人が今日トイレ掃除をしたとします。1人は「トイレ掃除ができた!私は偉い!」と思い、もう1人は「今日はトイレ掃除しかできなかった。私はダメな人間だ。」と感じました。このように、同じ状況でも人によってこんなにも捉え方は異なります。
後者の場合は自分を責めてストレスを抱えることになるでしょう。他にも、「何一つできない」「もう全部嫌だ」「どうせ○○に決まってる」というように自分の中で決めつけてしまっているケースが考えられます。こうした決めつけは自分を苦しめてしまうものばかりです。
しかし、認知行動療法を受けることでこういった「考え方のクセ」に気づけるようになり、思考のバランスを整えることができます。認知行動療法は、カウンセラーと面接を行う場面だけでなく、日常生活の中でも積極的に訓練を行うことが大切です。例えば、認知行動療法では、日記をつけることが推奨されています。日記には、今日の出来事とその時の感情を書き出し、それがどのような認知から生まれたかを振り返ります。慣れてくると、自分一人だけでもできるようになってきて、次第に思考のバランスが整います。
双極性障害の治療においては、薬物療法にプラスして認知行動療法も受けるようにすると良い場合もあるかもしれません。病気と共に生きていくために、検討してみましょう。
参照:
双極性障害に対する認知行動療法の効果について | 【公式】オンラインカウンセリングのTerapi
認知行動療法(CBT)とは|認知行動療法センター (ncnp.go.jp)
身近な人が双極性障害に!サポートの方法について具体的に提案
身近な人が双極性障害になってしまったらどうしますか?その時、本人をどうやってサポートすればいいのかを調べてまとめました。
服薬のサポートをする
双極性障害の治療のために一番大切なのが服薬を続けることです。本人が忘れずに服薬できるように、「薬飲んだ?」とひと声かけたり服薬を忘れないための工夫について一緒に考えたりと、服薬のサポートをしてあげましょう。
生活リズムを整えられるようにサポートする
双極性障害の再発を防ぐには、毎日の生活リズムを整えることが大切です。朝は決まった時間に起きて朝日を浴び、日中に活動して夜に眠くなったら寝る、という生活リズムをできれば毎日続けましょう。
一番やってはいけないことは「徹夜」だと言われています。たとえ一晩であっても躁転する恐れがあるようなので徹夜はやめましょう。もし本人の言動などで気になることがある場合は、睡眠時間のチェックを本人といっしょにしてみるのも良いです。
本人が毎日の生活リズムを整えられるように、声かけなどのサポートをしてあげてください。
様子が変だと思ったらすぐに主治医に相談を!
まず、本人の症状が安定している時に、うつ状態や躁状態ではそれぞれ最初にどんな症状が出るのか、どんなストレスが再発を引き起こしやすいのかなどについて本人とよく話し合っておく必要があります。
特に躁状態の時は本人が病気だという自覚が無いこともあるので、家族が本人の様子をよく見ていること、そして様子が変だと思ったらすぐに主治医に相談することが大切になってきます。本人と一緒に受診するのが一番良いのですが、無理な場合は本人がいなくても主治医にできるだけ早く相談することをおすすめします。
サポートする側が健康でいる
双極性障害の患者さんと暮らしていると、その言動や暴力などがひどく感じる時もあるでしょう。そんな時、「病気なのだから仕方がない」と受け止めてあげることは大切なのですが、全て受け止めているとサポートする側が参ってしまいます。うまく距離をとって、自分がダウンしてしまわないように気を付けることも重要です。
そして、サポートする側が心身ともに健康でいること、笑顔でいることが、患者さん本人の病気にも良いということを忘れないでください。
参照:
家族や身近な皆さまに知っておいていただきたいこと | 双極性障害 | すまいるナビゲーター | 大塚製薬 (smilenavigator.jp)
双極性障害(双極症)の人への接し方で大切なこと (litalico.jp)
双極性障害のことをよく知って対処の仕方について考えてみよう
双極性障害になった、あるいは身近な人が双極性障害になった場合、未知のことが多すぎてどうしたら良いのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。そんな時、まずは病気のことを知ることが大切です。医師に相談・質問するなどして双極性障害の対処の仕方を知ってください。そして、そこから病気と向き合い、または患者本人と向き合って過ごす毎日が始まります。
※筆者は医師ではありません。この記事はインターネット上で筆者が調べたものを筆者の言葉で執筆している物なので必ずしも正しいとは限りません。双極性障害について分からないことがある場合は、必ず医師に相談するようにしてください。
精神面の病気についての記事は他にもあります。他の病気についても知りたい場合は、テーマごとに記事を一覧にしているこちらのまとめ記事をご覧ください。