バラエティ豊かなミネラルウォーター類の種類や選び方などを紹介!
日本においては一般的に水を水道から入手できます。しかし、スーパーマーケットやネットショップなどでペットボトル・ガラス瓶などに入った「ミネラルウォーター」と呼ばれる水も購入可能です。法律上は「ミネラルウォーター類」と呼ばれるもので、産地や成分など幅広い特徴を持っています。水道水とは異なる水について知り、積極的に活用していきましょう。この記事ではミネラルウォーター類の種類や主なミネラル分、選び方などを紹介します。
ミネラルウォーター類の種類
一般的に「ミネラルウォーター」と呼ばれる水の多くは、法律上「ミネラルウォーター類」という飲用水に含まれます。法的にもミネラルウォーターとして扱われる水は一部のみで、「天然水」と呼ばれる水もミネラルウォーターに該当しません。自分に適した水を選ぶために、まずミネラルウォーター類について把握しておきましょう。ミネラルウォーター類の種類を以下で紹介します。
参照:ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン
ナチュラルウォーター
安定した質・量の水を得られる水源から採水された地下水です。採水後に沈殿・ろ過・加熱殺菌以外の物理的・化学的な処理を行いません。最低限のもの以外手が加えられないため、自然で採れた水をほぼそのまま楽しめます。
水に溶け込んでいるミネラル分が比較的少なく、飲みやすい味になるとされます。「自然の水を飲みたいが飲みづらい水は嫌だ」という場合に適しているでしょう。日本茶を淹れる場合にもミネラル分の少なさが適しています。
ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターに分類される水のうち、地中でミネラル分が溶け込んだものです。ナチュラルウォーターと同様自然に近い味わいを楽しめる水ですが、ナチュラルウォーターと異なりミネラル分に由来する硬さを持っています。独特の味わいを楽しめる一方で、用途によっては適さない場合もあるため注意しましょう。
ナチュラルウォーターとナチュラルミネラルウォーターは「自然」「天然」のような用語を使用できます。そのため、「天然水」と呼ばれる水の多くはナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーターのいずれかに分類されます。
ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターをもとに、品質を安定させるべくさまざまな処理を追加で行なった水です。ミネラルの調整や、空気中の成分を吹き込む「ばっ気」と呼ばれる処理などが行われます。一般的に称される広義の「ミネラルウォーター」よりも該当範囲が狭く、「天然水」と呼ばれる水もミネラルウォーターには当てはまりません。
各種処理を行った点以外はナチュラルミネラルウォーターと同様のため、ミネラル分も多く含まれています。複数のナチュラルミネラルウォーターが混合されている場合もあり、処理方法によって幅広いミネラルウォーターが作られます。
ボトルドウォーターまたは飲料水
飲用水のうち、ナチュラルウォーター・ナチュラルミネラルウォーター・ミネラルウォーターのいずれにも該当しない水です。水道水や蒸留水など多くの水が当てはまり、特に原水が地下水でない水はすべて対象に含まれます。自治体によっては水道水を地下水から賄っている場合もありますが、水道水は消毒用に塩素を混ぜているため飲料水に該当します。
ボトルドウォーターも飲用として認可されているため、ナチュラルウォーターやミネラルウォーターなどでなくとも安心して飲用可能です。一般的な「ミネラルウォーター」には分類されませんが、身近で安心できる水として積極的に活用しましょう。
ミネラルウォーター類のうち知名度が高いもの
ミネラルウォーター類は非常に多くの飲料水が製造・販売されており、なかには「ミネラルウォーター」という名前以外で広まっているものもあります。ミネラルウォーター類に含まれる水の種類を多く把握して、選択時の参考にしましょう。ミネラルウォーター類に含まれる水のうち、別の名前で比較的知名度が高いものを紹介します。
温泉水
温泉水は地熱で温められた地下水であり、基本的にミネラル分を多く含んでいます。種類によっては、自然の温泉水をほぼそのまま飲めるナチュラルミネラルウォーターも存在します。入浴するだけでなく、温泉水を飲む「飲泉」によっても温泉の効能を得られます。現代の日本では入浴用が一般的ですが、ヨーロッパでは温泉水の飲用が盛んです。温泉地が療養地になっていたことや入浴の習慣があまりないことなどによるとされます。
飲泉の許可を受けている温泉水は殺菌の必要がなく、含まれているミネラル分を無駄なく取り込めます。飲泉許可が出ていることを必ず確認して、注意事項を守りつつ舌でも温泉を楽しみましょう。
海洋深層水
海洋深層水は水深200mより深い海から採取された海水で、多くのミネラル分が含まれています。地下水ではないためボトルドウォーターに分類されますが、有機物や細菌類などが混ざりづらくきれいな状態を保てる点が特徴です。
豊富な栄養や清浄性などを生かして水産業や農業などに使用されており、同時に飲料水としても広く販売されています。飲料水として利用する際は塩分を除去するため、海水でも塩辛さの問題はありません。除去した塩もミネラル分が多く、海洋深層水の取水地で特産品として活用されています。飲料水のほかにも、酒・調味料・化粧品など多くの分野で海洋深層水が用いられるようになりました。
アルカリイオン水
アルカリイオン水は水道水のような飲用水を電気分解して生成する水で、「還元水素水」や「アルカリ性電解水」などの名前でも呼ばれます。水の電気分解で水素イオンの濃度を上げて、pH9~10程度の弱アルカリ性に調整したものです。ボトルドウォーターに分類される水で、ミネラル分も基本的には含まれていません。なお、「還元水素水」という名前がありますが「水素水」とは無関係です。
アルカリイオン水は医薬品ではありませんが、常飲すると下痢や消化不良などの胃腸症状を改善できるとされています。軽めの胃腸症状を少しずつ改善してくれるでしょう。体調によっては悪影響が生じる可能性もあるため、飲用前には医師への相談がおすすめです。
RO水
RO水は飲用水をろ過して作る水です。「逆浸透膜(RO膜)」と呼ばれるフィルターを使って、水に含まれる大半の成分や不純物を除去します。ミネラル分も除去されますが、胃腸に負担をかけず飲みやすい点がメリットです。ほぼ水分子しか入っていないため「純水」や「ピュアウォーター」などと呼ばれる場合もあります。
RO水はスーパーマーケットやドラッグストアなどで無料提供されているものが多く、意識せずに活用しているかもしれません。胃腸が弱い人や赤ちゃんでも負担なく飲めるほか、軟水のため和食や日本茶などにも適しています。
ミネラルウォーター類に含まれる主な成分
ミネラルウォーター類には各種のミネラル分が含まれており、ミネラル分の量によって水の飲み心地や効果などが変わります。ミネラルが不足すると悪影響につながるおそれもあるため、飲み過ぎに注意しつつ積極的に摂取しましょう。ミネラルウォーター類に含まれる主なミネラル成分について、以下で詳しく解説します。
カルシウム・マグネシウム
人体を構成するミネラルの一種で、主に骨や歯などに存在しています。脳・神経・筋肉などにもあり、骨の健康を維持したり筋肉のバランスを保ったりしてくれます。カルシウムとマグネシウムを適切に摂取すると、骨折やこむら返りなどのリスクを減らせる場合もあるでしょう。
ミネラルウォーター類において、カルシウムとマグネシウムは水の硬度にかかわります。水の硬度は含まれるカルシウムとマグネシウムの量によって変わり、算出された硬度によって「硬水」「軟水」のような区別がなされます。硬水・軟水にこだわりがある場合は、水ごとのカルシウムやマグネシウム含有量も確認してみましょう。
ナトリウム・カリウム
どちらも人体における必須ミネラルです。全身を構成する細胞内の浸透圧を調整する役割があり、両ミネラルのバランスで体の健康を守ります。神経信号を伝達して筋肉を正常に動かしたり摂取した栄養素を血液に溶かして吸収をサポートしたりする役割もあります。
体を維持するために欠かせない成分ですが、摂取しすぎても悪影響が生じます。特にナトリウムは食塩に含まれるミネラルでもあり、大部分はミネラルウォーター類でなく食品から摂取されます。ミネラルウォーター類を飲みすぎても過剰摂取になる可能性は高くありませんが、食事バランスには注意しましょう。
ミネラルウォーター類の選び方
ミネラルウォーター類は世界中で非常に多く生産されており、それぞれに幅広い特徴がみられます。硬度・pH・産地など、多くの選択基準を設けて自分にぴったりなものを探しましょう。この章ではミネラルウォーター類の主な選び方を紹介します。
硬度で選ぶ
ミネラルウォーター類の硬度を選択時の基準にしましょう。水の硬度は水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量で決まり、硬度が低いほど「軟水」と呼ばれる水に近づきます。WHOが定めた飲料水水質ガイドラインで用いられる分類は以下のものです。
硬度(mg/L) | 分類 |
---|---|
60未満 | 軟水 |
60以上120未満 | 中程度の軟水 |
120以上180未満 | 硬水 |
180以上 | 非常な硬水 |
一般的に軟水はあっさりしてクセがなく、硬水は苦み・渋みなど独特のクセがあるとされます。和食を作る際は旨味成分を引き出す軟水が、洋食の調理にはアクをとりやすい硬水が適しています。日本においては軟水が一般的のため、硬水よりも軟水が舌に馴染みやすいかもしれません。しかし、好みによっては硬水を気に入る場合も多くあります。同じ分類でも硬度の差で好みが変わる可能性もあるため、多くの水を試して好みの硬度を見つけましょう。
pH値で選ぶ
ミネラルウォーター類それぞれのpH値も選択基準になりえます。pH値は7を基準として低いほど酸性が、高いほどアルカリ性が強まる指標です。ミネラルウォーター類のpH値は5.8以上8.6以下に収まるよう定められており、基本的に弱酸性・中性・弱アルカリ性のいずれかに含まれます。
参照:ミネラルウォーター類における化学物質等の成分規格の設定等について「表3 ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の成分規格設定等検討項目(食品健康影響評価未依頼)」
人間の体はpHが7.4前後に維持されているため、pH6~8程度の水が体に適しています。pH値が異なる水を飲んでも基本的に体のpH値に影響は出ません。ただ、強いアルカリ性の水を飲みすぎると胃酸の殺菌作用が低下する可能性もあります。より安心したい場合は人体に近いpH値のミネラルウォーター類を積極的に選びましょう。
産地で選ぶ
ミネラルウォーター類の産地から選ぶ方法も有効です。国内外を問わず非常に多くのミネラルウォーター類が生産されており、産地によって水の成分や処理方法などが異なります。産地の違いによってバラエティ豊かなミネラルウォーター類を楽しめます。
日本国内では山梨県が最も多くのミネラルウォーター類を生産しています。富士山や南アルプスなど多くの山があり、多数のおいしい水を得られる環境です。
国産以外に欧米で生産されたミネラルウォーター類も多く販売されていますが、特にヨーロッパでは日本やアメリカと基準が異なります。ヨーロッパのミネラルウォーター類は殺菌処理が禁止されており、衛生管理は水源周辺の環境を保全する形で行われています。種類によっては天然の炭酸水になっている点も特徴です。硬度も大陸ヨーロッパは総じて高く、日本の軟水と大きく異なる飲み心地を楽しめるでしょう。
まとめ
ミネラルウォーター類の種類や主なミネラル分、選び方などを紹介しました。一般に「ミネラルウォーター」とまとめて呼ばれるミネラルウォーター類には、非常に多くの種類・特徴があります。ミネラルウォーター類の特徴を把握して、お気に入りの一品を探してみましょう。
ミネラルウォーター類は種類によって飲用以外にも幅広く活用できます。特に水が不可欠な料理に使うと水の違いを感じやすく、よりおいしい食事が可能です。水から料理にもこだわって、飲食両面で心と身体を充実させてみてください。