ヒグマによる事故に注意!その危険性について詳しく解説
北海道に生息するヒグマ。ヒグマというと、皆さんはどんなイメージを持っていますか?動物園でヒグマを見る分には、のそのそ動いていて可愛い、という感想を持つかもしれませんが、野生のヒグマとなると話が違ってきます。ヒグマに関する恐ろしい事件が増えている今日、私たちにできることは何でしょうか。
この記事では、ヒグマの生態をはじめとする、ヒグマに関する有益な情報を集めてみました。
ヒグマ被害に遭わないようにするために、私たちもヒグマのことをよく知っておく必要があります。ぜひ参考にして下さい。
ヒグマの生態まとめ!まずはヒグマの習性や身体能力を知ろう
ヒグマはどんな動物でどんな特徴を持っているのでしょうか。ヒグマ対策をするにはまず相手を知ることが大事です。ヒグマの特徴や習性、身体能力などについてお伝えします。
体長や体重
オスの体長は約2m、メスの体長は約1.5mです。体重(成獣の場合)は、オスが約150~400kg、メスが約100~200kgです。国内では最大の陸上動物で、北海道の森林地帯に生息しています。
行動パターン
ヒグマは、基本的に単独で行動し、夜間のほか日中も行動します。本来は慎重なので、人を避けて藪などに隠れて行動することが多いです。
人間の食べ物や生ごみを一度食べるとその味を覚えてしまい、その味に執着して行動も人を恐れず大胆になります。
冬場は食物が少なくなるので、12月~3月ごろまで冬眠しますが、外からの刺激により起きることもあります。冬眠に備えてヒグマが活発に活動する秋は人と遭遇する危険が高く、特に注意が必要です。
また、子育ては母グマだけが行い、母グマは子グマを守るために攻撃的になる傾向があります。
習性
逃げるものを追いかける習性があります。
身体能力
小熊でも力が強く、車のフロントガラスを簡単に破壊することができます。最大で時速50kmくらいで走ることができます。視力よりも嗅覚や聴覚が優れています。学習能力が高いです。
参照:
ヒグマの生態・習性/札幌市 (city.sapporo.jp)
ヒグマに関する基礎知識 – 釧路方面新得警察署 (hokkaido.lg.jp)
ヒグマの生態・行動習性|新冠町 (niikappu.jp)
PowerPoint プレゼンテーション (hokkaido.lg.jp)
これらを見ると、ヒグマは思ったよりも賢く、いろいろな高い能力を持っていることが分かります。ヒグマは身体能力が高いので、戦おうとしても勝ち目はまずないと言っていいでしょう。そのため、ヒグマに出会ったらどうするかと考えるよりは、ヒグマに出会わないようにするにはどうしたらいいかを考える方が、ヒグマ被害に遭わないためには大切なことなのです。
ヒグマとの向き合い方を振り返る~北海道とヒグマの歴史
ヒグマは北海道にのみ生息します。そして、ヒグマに出会ってしまったらいきなり生きるか死ぬかを分かつような問題に直面します。そのため、「ヒグマがかわいそう!殺処分しないで!」との言葉は北海道民にとってはなかなか受け入れられない場合が多いです。
ヒグマと人間は昔からどのように関わり続けてきたのでしょうか。ここでは、北海道に暮らす人々とヒグマの歴史について調査したことをお伝えします。
北海道開拓の始まり
北海道の本格的な開拓が始まったのは明治初期のこと。そして明治19年には北海道庁が設置され、明治時代も半ばになると北海道への移民が急激に増加しました。
移住する理由は人によって様々でしたが、それまで住んでいた場所とは気候も植生も違っていたので、今では考えられないほど大変な苦労がありました。
暖房も防寒具も十分に無い北海道の冬はあまりに厳しく、命を落とした人も多かったようです。また、北海道では米が育たなかったので食の問題も山積み。栄養が摂れないことで、病気や栄養失調にもなりやすいという事実がありました。
ヒグマとの戦い
北海道開拓は寒さだけではなくヒグマとの戦いでもありました。明治11年に起きた札幌丘珠事件(死者3人・負傷者2人)、大正4年に起きた三毛別羆事件(死者7人、負傷者3人)、大正12年に起きた石狩沼田幌新事件(死者4名、負傷者3人)をはじめ、ヒグマに人が襲われる事件が何度もあり、同じ悲劇を繰り返さないためにその様子が詳細に記録されています。どの事件も、最終的にはヒグマが射殺されて終息を迎えています。
歴史から学べること
これらの事件から得られる教訓は、ヒグマは、一度人を襲ってその肉を食べると、その味に異常に執着するようになり、何度も人を襲うようになってしまうということです。人間の肉だけではなく、人間の食べ物や生ごみをヒグマが食べた場合も一緒で、その味を覚えて幾度となくヒグマが人を恐れず現れるようになってしまいます。そのため、人間側がもっと積極的に「ヒグマと出会わない方法」を実践するべきなのです。
極端な例で言うと「もともと北海道の森はヒグマの住みかだったのに、人間が後から入ってきたからこのようなヒグマとの戦いが起こってしまった、だからヒグマを殺すのはかわいそう」という考えもあります。
しかし、現に多くの人が北海道に既に住んでいるのですから、ただ「殺すのはかわいそう」で片づけるのは現実的ではありません。私たちはあくまでヒグマとの共存を目指して努力することが必要で、それでも人の命が危ないときは最終手段としてヒグマの殺処分もやむを得ないと言えるでしょう。
平成12年以降ヒグマにより人が死亡した事件は19件であり、ヒグマ被害が全く無かった年はほとんどありません。特に令和3年は死者3名、負傷者7名と多くの被害者が出ました。ヒグマ被害は決して他人事ではないということが分かります。
参照:
ヒグマの歴史~危険な羆と共生してきたアイヌと開拓民の対処法とは? – BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) (bushoojapan.com)
北海道の開拓と移民 | 北海道開拓の村 (kaitaku.or.jp)
三毛別羆事件 – Wikipedia
2000年以降のヒグマ人身事故 – ヒグマ研究室 (naochiaki.biz)
ヒグマ被害に遭わないために!ヒグマ対策をしっかりとしよう
ヒグマ被害に遭わないようにするには、当たり前のことですがヒグマに出会わぬようにすることです。ヒグマと出会わぬようにすることが、最も確実で簡単な安全対策です。
ここでは、ヒグマに出会わないためにするべきこと、反対にしてはいけないこと、万が一ヒグマに出会ってしまったらどのように行動すれば良いかの3つについて解説していきます。
ヒグマに出会わないためにするべきこと
人間側がヒグマに出会わない努力を怠らないことで、ヒグマに遭遇する可能性は限りなく低くなります。下記の点について気を付けるようにしましょう。
・ヒグマの出没情報をチェック
登山やキャンプなどアウトドア活動の予定がある人は行き先のヒグマの出没情報を確認しましょう。行き先にヒグマの出没情報がある場合は、潔く行くのを中止することが賢明です。
・積極的に音を出す
ヒグマがいそうなところでは積極的に声を出す、手を叩く、鈴やホイッスルを鳴らすなど自分がここにいるということをヒグマに知らせてください。人がそばにいることが分かると、警戒心が強いヒグマは人との遭遇を避け自分から立ち去ってくれるからです。複数人で行動することも、おしゃべりなどで自然に賑やかになるためおすすめです。
・ヒグマがいた痕跡を見つけたら引き返す
ヒグマの糞や足跡、食痕、爪痕など、ヒグマがいた痕跡を見つけたら引き返すなどして避難しましょう。警察署、役場などに連絡することも忘れずに。
してはいけないこと
ヒグマ被害に遭う可能性が高くなるので、下記のような行動は絶対にしてはいけません。
・魚などの食べ物やゴミを放置する
キャンプ場や建物の近くに魚などの食べ物やゴミを放置すると、ヒグマを引き寄せる原因になるのでやめましょう。こういった食べ物やゴミをヒグマが食べると、前述したとおり人間の食べ物に執着して人を襲うようになる恐れがあり、食べ物やゴミを放置した張本人だけでなく次にその場所に訪れた人をも危険に晒すことになってしまいます。
・薄暗い時に行動する
早朝や夕方はヒグマの行動が活発になるので、こうした時間帯に歩き回ることはやめましょう。同じく濃霧の時や雨が降っている時も、ヒグマと人がお互いの存在に気づきにくくなるので動くのはやめた方が良いです。
・犬を連れて歩く
犬は嗅覚が鋭いので、ヒグマに気づいて吠えかかる恐れがあり、その結果ヒグマを刺激して怒らせてしまうケースが考えられます。そのため、ヒグマに対する訓練がされていない犬を連れて森の中を歩くことは絶対にやめましょう。
万が一ヒグマに出会ってしまったら
万が一、ヒグマに出会ってしまっても焦らず次のことに気をつけて行動しましょう。
・背中を向けて走って逃げない
ヒグマは逃げるものを追いかける習性があるので、これは逆効果。ヒグマは時速50kmで走ることができるので、絶対に追いつかれてしまいます。ゆっくりと後ずさりをしながら退避するのが良いです。
・静かにする
ヒグマを刺激しないように、大声を出したりはせず、静かに落ち着いて行動するようにしましょう。
・子グマに近づかない
子グマの近くには必ず母グマがいます。母グマは子グマを守るため神経質になっています。近づかないのが一番です。
ヒグマに出会ったときにどうすればよいかについてお伝えしましたが、このように行動すれば絶対に襲われないという保証はありません。ヒグマが遠くにいる場合と近くにいる場合とでは対処の方法も違ってきます。
あくまでも、ヒグマに「出会わないように」努力することが一番大切です。上記の注意点をよく読んで、ヒグマがいそうな場所を避けたりヒグマを引き寄せないようにしたりと、ヒグマに会わないためのルールを徹底するようにしましょう。
参照:
出会わないために(ヒグマ対処法)|知床財団|世界自然遺産「知床」にある公益財団法人 (shiretoko.or.jp)
森に入られる方々へ~ヒグマの被害に遭わないために~:北海道森林管理局 (maff.go.jp)
野山でヒグマに出会わないために – 環境生活部自然環境局 (hokkaido.lg.jp)
ヒグマ対策 | くらしのガイド | 北海道釧路町 (kushiro.lg.jp)
ヒグマの生活を尊重しつつ人とヒグマの共存を目指そう!
ヒグマの生態やヒグマと人に関する歴史、ヒグマ被害に遭わないための対策について解説してきました。ヒグマは恐ろしい動物だから人間の敵だと捉える人も中にはいるかもしれませんが、ヒグマにはヒグマの生活があり、家族がいて、世界があります。
そのヒグマの生活を刺激することを避けてヒグマと出会わないようにすることにだけ気をつけていればヒグマ被害に遭うことはありません。
この地球でヒグマと人がうまく共存できるように、ルールを守りながら行動したいものです。