お祝い事での注意点は何がある?贈り物や式でのマナーなどを解説!

公開日:2024/08/27
お祝い事での注意点は何がある?贈り物や式でのマナーなどを解説!

多くの人は、生まれてから死ぬまでの間にさまざまなおめでたい経験をします。誕生日や入学・卒業祝い、結婚・出産祝いなど多種多様な「お祝い事」が起こりえます。人によってはビジネスでの成功や長寿を祝う機会もあるでしょう。
お祝い事では贈り物や式への参加などが必要になる場合も多くあります。お祝い事における各種のマナーを守って、より楽しく祝いましょう。この記事ではお祝い事の種類や贈り物、式に参加する際のマナーなどを解説します。

お祝い事の種類

お祝い事は「慶事」とも呼ばれて、人の一生において多くの種類が存在しています。すべてのお祝い事を経験できる人は非常にまれですが、自分や身近な人がいずれかのお祝い事にあてはまるケースは珍しくありません。お祝い事の種類を把握しておきましょう。
お祝い事は大きく「成長」「長寿」「ビジネス」の3分野に分けられます。各分野のお祝い事を以下で紹介します。

成長のお祝い

一生のうちに経験するお祝い事の多くが成長のお祝いに該当します。年齢を問わず祝われるタイミングとして「誕生日」がありますが、ほかにもさまざまなお祝いが存在します。主な成長のお祝い事として以下のものが挙げられます。

〇生後間もないころ

  • 出産祝い
  • お七夜(子供への命名式)
  • お宮参り(子供の健やかな成長を祈願、男の子は30日~31日、女の子は32日~33日)
  • お食い初め
  • 初節句(誕生後最初に迎える節句、男の子は5月5日、女の子は3月3日)

〇幼少期から青年期

  • 七五三(子供の成長祝いと健康祈願、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳)
  • 入園式・入学式
  • 進学祝い
  • 卒業式・就職祝い
  • 成人式(2022年から18歳に変更)

〇結婚や出産

  • 結婚式
  • 出産祝い
  • 銀婚式(結婚から25年経ったお祝い)
  • 金婚式(結婚から50年経ったお祝い)

長寿のお祝い

長生きを喜ぶお祝い事も多く催されます。60歳が始まりで、おおよそ10歳ごとに区切りが設けられています。主な長寿のお祝い事として以下のものが挙げられます。

  • 還暦(60歳、十干十二支が生まれた年から一巡する年齢のため)
  • 緑寿(66歳、現役世代と高齢世代の境目として日本百貨店協会が提唱)
  • 古希(70歳、杜甫の詩に詠まれている「人生七十古来稀なり」に由来)
  • 喜寿(77歳、「喜」の草書体「㐂」が「七十七」と読めるため)
  • 傘寿(80歳、「傘」の略字「仐」が「八十」と読めるため)
  • 米寿(88歳、「米」の字を分解すると「八十八」になるため)
  • 卒寿(90歳、「卒」の略字「卆」が「九十」と読めるため)
  • 白寿(99歳、「百」から「一」を抜くと「白」になるため)
  • 紀寿または百寿(100歳、100年で1世紀のため)
  • 上寿(100歳以上、毎年適用可能)
  • 茶寿(108歳、「茶」の字を分解して「十・十・八十・八」にした合計が108のため)
  • 皇寿(111歳、「皇」の字を分解した「白・王」を「九十九・一・十・一」とした合計が111のため)

参照:01 慶事とは? | 高島屋
   自らを祝う新しい賀寿 | 三越伊勢丹
   古希以外も!長寿祝いの種類 | 阪急阪神百貨店

ビジネスのお祝い

お祝い事のなかにはビジネスに関するものもいくつか存在します。会社から祝われる以外に国から祝われる場合もあります。主なビジネスのお祝い事として以下のものが挙げられます。

  • 昇進
  • 栄転(地位や役職を向上させつつ転任すること、上司や得意先の担当者が転任する際に使用)
  • 開業
  • 落成式(建物の完成時に関係者の労をねぎらうこと)
  • 叙勲(国家や公共に対して功績・業績を挙げた人物に送られる栄典)
  • 定年退職

お祝い事での贈り物

身近な人物にお祝い事が発生した場合、内容に応じてさまざまな贈り物を贈ります。お祝い事の内容によっては贈るべきでないものもあるため、何を贈るかよく考えましょう。ある程度フォーマルな場面の場合、贈る際には熨斗紙での包装が必要です。熨斗紙の選択や記載にもマナーがあるため注意しましょう。
お祝い事の際に贈る贈り物について以下で詳しく解説します。

贈り物の選択

お祝い事でものを贈る場合は中身の選択が大切です。マナーを守りつつ相手が喜ぶものを選びましょう。お祝い事の内容ごとに挙げられる主な贈り物は以下のとおりです。

・誕生祝い
相手の好みに合わせたものが適しています。実用品や相手の趣味に使える品物などがおすすめです。マナー違反になりづらいため、幅広い選択肢から贈り物を選べます。革小物・アクセサリー・お酒など、贈る相手の嗜好を考えて決めましょう。

・入学祝い
子供の学業に必要なものや本人が欲しがっているものが一般的な選択です。小学校から大学まで、入学する学校によって適切な贈り物も異なります。小・中学生ならば文房具や部活動の道具、高校以上ならば通学に使えるものや商品券などがおすすめです。

・就職祝い
社会人として新生活を送るために役立つものを贈りましょう。腕時計・財布・ボールペンなど、ビジネスシーンで多く用いられる道具が定番です。スーツやネクタイなどは就職先によって着用しない可能性もあるため、贈る場合は必要かあらかじめ確認しましょう。

・結婚祝い
夫婦の新生活に役立つものや、共通の趣味に使えるものが適しています。一方で「縁が切れる」に通じる刃物や「苦死」と読める櫛など、縁起が悪いとされるものも多いため注意しましょう。食器・家電・旅行券などが多く選ばれます。

・出産祝い
子育てに必要なものや産後のお母さんを労えるものを選びましょう。消耗品の紙おむつや汚れやすいよだれかけ、母子ともに使えるスキンケアアイテムなどがおすすめです。避けるべきものはあまりありませんが、出産後は忙しいため送るタイミングに気をつけましょう。

・長寿祝い
相手への感謝を伝えたりさらなる長生きを願ったりするものがおすすめです。長寿の人は欲しいものをすでに持っている可能性が高いため、旅行や食事など体験を選ぶ方法もあります。ものを贈る際は縁起の悪いものや健康に悪影響を与えるものなどを避けましょう。

贈り物の包装

お祝い事の贈り物は熨斗と水引がマナーとして必要です。一般的には両者を統合している熨斗紙に包んで贈ります。
熨斗は本来「熨斗アワビ」のことで、縁起物として乾燥させたアワビを贈り物に添えていた風習に由来します。その後アワビの代わりに紙製の「熨斗飾り」が使われるようになり、現代でも熨斗紙の右上に描かれています。
水引は贈り物につける飾り紐のことで、現在では熨斗紙の中央に赤や黒などの線で描かれることもあります。お祝い事で使用する水引は黒白でなく紅白のものを選びましょう。黒白の水引はお葬式のような弔事で使用するタイプです。水引は結び方と紐の数でも使用場面が異なります。出産祝いや長寿祝いなど、複数回起きてもうれしいお祝い事には蝶結びのものを選びましょう。一方、快気祝いや結婚祝いのような複数回起きてほしくない場合には結び切りや淡路結びのものが適切です。特に結婚祝いの場合は紐が10本あるタイプの水引を用います。
贈り物を熨斗紙で包む際には表書きと名入れも必要です。表書きは水引の上に贈り物の目的を記載するもので、「誕生日御祝」「御結婚御祝」「祝還暦」など書き込みます。名入れは水引の下に送り主の名前を書くものです。フルネームか名字を記載して、連名の場合は目上の人が右に来るよう記載しましょう。
熨斗紙をかける位置も「内熨斗」「外熨斗」に分けられます。包装紙の内側にかける場合は内熨斗、外側ならば外熨斗と呼ばれます。内熨斗と外熨斗に大きな区別はありませんが、控えめな印象を持たせたり郵送したりする場合は内熨斗がおすすめです。

お祝い事に参加する際のマナー

お祝い事は会場を設けて式を行う場合も多くあります。式に出る際は服装や伝えるメッセージの内容などに注意して、お祝い事ならではのマナーを守る必要があります。場にふさわしくない行為でお祝いムードを壊さないように、お祝い事それぞれにふさわしい行動をとりましょう。お祝い事に参加する際に守るべきマナーから、服装とメッセージについて以下で詳しく解説します。

服装

お祝い事の式に参加する場合、内容によっては服装のマナーに注意しなくてはなりません。親しい人物の誕生会のような式であれば普段着で構いませんが、ある程度改まった場面では相応の服装を選びましょう。服装に注意すべきお祝い事と適した服装は以下のとおりです。

・結婚式
結婚式や披露宴で適した服装は新郎・新婦との関係によって異なります。
近しい親族の場合は男性ならモーニングコート、女性はアフタヌーンスーツを選びましょう。和装では五つ紋付の紋付袴や黒留袖を着用します。
親族以外の招待者の場合はある程度落ち着いた服装を選びます。男性ならブラックスーツが、女性ならフォーマルワンピースがおすすめです。

・祝賀会
祝賀会や記念式典はビジネスの場にあたるため、華やかさをもちつつビジネスマナーを逸さない服装を選びます。基本的には招待状に記載されたドレスコードにあわせましょう。記載されていない場合は男性ならディレクターズスーツ、女性ならセレモニースーツで大丈夫です。「平服で」との指示があった場合も普段着はNGです。男性はブラックスーツ、女性ならフォーマルワンピースを選びましょう。

・叙勲
叙勲や褒章の場では皇居への参内や天皇陛下への拝啓をともなうため、宮中のしきたりに従う必要があります。受賞者本人だけでなく同伴者も服装に注意しましょう。
受賞者は男性ならモーニングコート、女性はローブデコルテが一般的です。勲章の種類によってはフロックコートや燕尾服が求められる場合もあります。
同伴者は色留袖が多く着用されます。洋装の場合はローブモンタントやアフタヌーンドレスを選びましょう。

お祝いメッセージ

お祝い事の際にメッセージやスピーチを読む場合もあります。お祝いの種類や主催者との関係などによって適切なメッセージの内容が異なります。
お祝いのスピーチが多く読まれる結婚式の場合、主賓・乾杯・友人代表など立場にあわせた内容を考えましょう。祝いの言葉・新郎新婦との間柄・エピソードなど立場を問わず盛り込まれる内容に加えて、各立場ならではのポイントが重要です。主賓は一般的に新郎新婦より目上の人物が務めるため、品格をもって敬語も正しく使うよう心がけましょう。乾杯の挨拶は主賓が兼任する場合もありますが、単独で行うならば時間をかけずに進める必要があります。友人代表は多少くだけた口調でも問題ありませんが、最低限の敬語は不可欠です。
お祝い事の式に直接参加せず、手紙や電報でメッセージを送るケースもあります。メッセージを書く際にも複数のポイントがあるため事前に確認しておきましょう。区切りを連想させる句読点や縁起の悪い言葉の使用を控えたり、黒や濃い青の万年筆で書いたりする必要があります。万年筆を用意できない場合はボールペンでも構いませんが、消せるボールペンの使用は避けましょう。

お祝い事に対する内祝いについて

人からお祝いしてもらったあとには、一般的にお返しとして「内祝い」を行います。祝ってくれた相手に対する感謝の気持ちを込めて、さまざまな種類の贈り物をしましょう。贈るタイミングや品物などの検討が重要です。この章ではお祝い事への内祝いについて解説します。

内祝いとは

現代において、「内祝い」という言葉は「お祝い事に対するお返し」の意味合いで用いられています。お祝い事で贈り物を受け取った際、贈ってくれた相手に対して感謝・お礼の意味で贈り物をします。
「内」祝いという名のとおり、元来は身内でのお祝いを指していました。おめでたいことが起きたときに身近な人へと幸せをおすそ分けしていた習慣が内祝いの始まりとされます。当時は内祝いの贈り物として、赤飯や紅白餅のような縁起物が選ばれていました。
現代の内祝いは自主的に行わず、お祝いしてくれた相手へのお返しとして行われます。贈り物も縁起物に限らず、相手が喜ぶものも有力な候補に含まれるようになりました。
注意点として、内祝いには地域性があります。地域によっては独自の文化が残っているケースも珍しくありません。自分が住んでいる地域や新しく引っ越す地域など、地域独自の内祝い文化があればそちらに従いましょう。

内祝いが必要なお祝い事

お祝い事の種類と同じく、内祝いにも多くの種類が存在します。お祝いの種類によって内祝いのタイミングやマナーも異なるため注意しましょう。

・結婚内祝い
結婚式に参加しなかった人や高額の引き出物を贈ってくれた人が対象です。結婚式から1ヶ月以内を目安として贈りましょう。結婚式より前に入籍する場合も結婚式が基準で問題ありません。式と入籍の間が長期間空く場合は、内祝いが遅くなる旨伝えておくと丁寧です。

・出産内祝い
主に出産祝いを贈ってくれた人が対象です。出産から1ヶ月以内を目安に贈りましょう。おおよそ子供がお宮参りを行うタイミングです。産後は母子の体調管理や子育てで慌ただしく、出産内祝いを贈りそびれる可能性もあります。無理に目安期間を守ろうとせず、あとからでもお詫びの言葉を添えて贈りましょう。

・入学内祝い
子供に入学祝いを贈ってくれた人が対象ですが、基本的に入学祝いへのお返しは必要ありません。入学祝いは子供に対して贈られたものであり、子供からのお返しは困難であるためです。もし内祝いを贈る場合は入学式のあとに贈りましょう。

・新築内祝い
新築祝いを贈ってくれた人のうち、新居完成時に披露しなかった人が対象です。新築祝いを受け取ってから1ヶ月程度を目安に贈りましょう。新居への引っ越し後は忙しくなるため、新築祝いの受け取りから2ヶ月程度まで延びても問題ありません。

内祝いで贈るもの

内祝いで贈る品物は一定の相場内で相手から喜ばれるものが定番です。結婚祝いや出産祝いなど、相手から贈られた金額の半額程度を相場に選びましょう。贈られた金額より高額のものはマナー違反にあたります。「縁切り」に通じる刃物や足で踏みつける履物など、金額と関係なくふさわしくないものも存在するため要注意です。
内祝いに適した品物は「消えもの」と呼ばれる食品や消耗品がおすすめです。お菓子・グルメや洗剤・石鹸など、複数あっても困らないものを積極的に選びましょう。食品を選ぶ際は日持ちがしないものを避ける必要があります。相手が任意のタイミングで必要なものを入手できるため、近年ではカタログギフトを贈る選択も有効です。

まとめ

お祝い事の種類や贈り物、式に参加する際のマナーなどを解説しました。人生のうちに起こりうるおめでたいことは複数あり、それぞれ近親者や関係者などと一緒にお祝いします。うれしい気持ちや感謝の思いを壊さないように、マナーを守りつつ楽しくお祝いしましょう。自分が祝ってもらった場合は後日のお返しも必要です。
お祝い事は一生のうちにたくさんあってもうれしいことであり、人との円満な交流が多ければお祝い事につながる結果も招きやすくなります。お祝い事で多くの人と友好関係を築いて、さらに多くのお祝い事や成功体験につなげていきましょう。