スマホから離れて分かることとは~デジタルデトックスのススメ~
朝起きて最初に手にするのはスマホ、寝る前に最後に見るのもスマホ…こんな日常が当たり前になっていませんか?気づかないうちにスマホに依存してしまっている人は少なくないのではないでしょうか。そのような人に試していただきたいのが「デジタルデトックス」です。この記事では、デジタルデトックスの定義、メリットやデメリットを解説するとともに、具体的な実践例についてご紹介します。
デジタルデトックスとは?その必要性について解説
スマホをはじめとするデジタル機器(この記事ではスマホにターゲットを絞っているので以下スマホとします)は今や生活に欠かせない存在になっています。確かに便利だけれど、スマホをいじるのをやめたくてもやめられない状態にまでなってしまっているとしたら困りものですよね。
日本人はスマホを1日にどのくらい使っているのか
2021年にNHKが行ったスマホの利用時間に関する調査では、10歳以上の人全体で1日あたり平均1時間18分使っているという結果が出ました。このうち、20代の人は男女とも3時間半近く、30代の人は男女とも2時間以上使っているとのことでした。(参照:スマホの利用時間は、1日にどのくらい? |NHK放送文化研究所)
20代、30代の人が特にスマホの利用時間が多いとのことでしたが、スマホを使っている時間が長いと私たちの生活にどんな影響があるのでしょうか。
長時間のスマホの使用が私たちの生活に与える影響
スマホを長い時間使っていると、目の疲れや肩こり、ひいてはスマホ首(スマホを悪い姿勢で使うことで首の筋肉が緊張し、首に負担がかかっている状態のこと)による頭痛を引き起こす恐れがあります。
また、スマホでSNSを利用する人は特に、「いいね」を押すことや友人にコメントをすることに疲れてしまったり、フォローしている人の人生が自分より素晴らしいものに見えたりと、精神的に参ってしまうケースが見られます。
このようにスマホを長く使いすぎると、私たちの生活に身体的にも精神的にも少なからず悪い影響が出るということが分かります。そこで、デジタルデトックスの実践を提案します。
デジタルデトックスの定義とその必要性について
デジタルデトックスとは、一定期間スマホなどのデジタル機器から離れ、心身の疲労を軽減しようとする試みのことを指します。デジタルデトックスは、デジタル機器を全く使わないで生きていく、というものではなく、むしろこれからデジタル機器を主体的に・健全に使っていくために行うものです。スマホを毎日使いすぎて疲れてしまっている人は、一定期間デジタルデトックスを実践することで、スマホに依存するのではなくうまくスマホを利用できるように自分をコントロールする練習をしていきましょう。
デジタルデトックスのメリット・デメリットを紹介
デジタルデトックスを行うとどんなメリットやデメリットがあるかについて解説します。
デジタルデトックスを実践するメリット
・睡眠の質が上がる
夜、ベッドに入ってからいつまでもスマホをいじっていると、スマホから発せられるブルーライトの影響で体内時計が狂って睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。また、スマホでSNSやゲームをすること自体が脳への刺激になるので、ますます不眠につながりやすくなります。
寝る前にデジタルデトックスを実践すると、ブルーライトを浴びることが無いので体内時計が正常になり、スマホ使用による脳への刺激も少なくなります。その結果、寝つきが良くなったり、深く眠れるようになったりと、睡眠の質が上がることが期待できます。
・時間をゆったりと使える
スマホを使い始めると、無意識にいろいろなサイトを見たりSNSをしたりしているうちに気づいたら数時間が経過していた、という経験はありませんか?スマホでしかできない手続きなど必要な用事を済ますことにはスマホは大いに使うべきですが、暇だからとスマホをSNSやゲーム、インターネットなどに長時間使ってしまった後に「無駄な時間を過ごしてしまったなあ」と後悔する人は多いのではないでしょうか。
こうした状況を打破するためにデジタルデトックスを実践すると、今までスマホをだらだら使っていた時間を有効に使えるようになり、本を読んだり趣味に没頭したりと好きなことがゆったりとできるようになります。
・気づきが増え、新しい自分を発見できる
デジタルデトックスを実践すると、スマホばかり見ている時は気づかなかったことに気づける可能性が高くなります。例えば、「この時間には空がこんなに赤くなるんだ」といった自然に関する気づきや、「ここのお店は昨日通った時より今日の方が活気がある」といった街の景色に関する気づきなどです。
こうした新しい気づきを数えていくうちに、「私って実は〇〇に興味があるのかもしれない」という風に、それまで気づかなかった新しい自分を発見できるかもしれません。
デジタルデトックスを行うデメリット
・諸々の手続きや連絡ができなくて不便
現代社会は、スマホなしでは成り立たないほど、生活の中にスマホが組み込まれています。諸々の手続きもスマホ1台で完結するほどで、スマホが無いと不便で本当に困ってしまう場面も多々あります。デジタルデトックスを行う時は、こういった手続き関連のことでスマホを使うのは良しとするなど、臨機応変にルールを設定するのが良いかもしれません。
また、スマホが無いと災害などの緊急事態になっても家族からの連絡に気づかなかったり、公衆電話を使おうとしても電話番号が分からなかったりして最悪連絡がつかないという事態にもなり得ます。デジタルデトックスを行うとこのようなリスクが伴うので、電話やメールなどスマホの最低限の機能は使えるようにしておくのが良いです。
・孤立感や不安感に襲われる人も
デジタルデトックスを行うと、特にそれまでSNSにかなりの時間を費やしていた人は人とのつながりを絶たれた感じがして孤立感や不安感に襲われる場合もあります。そういう時こそ、家族や友達と直接話す時間を大切にしましょう。生のコミュニケーションを大切にすることで、人と会話することの喜びを感じられるだけでなく、ただ「いいね」を押すだけでは分からなかった人の顔色・声色・表情・言葉の言い方などに新たな気づきを得ることができるでしょう。そして、スマホが無くても、人とはつながっていられるということがきっと理解できることでしょう。
デジタルデトックスを実践するための方法はこれ!
ここでは、実際にデジタルデトックスをするための方法についてご紹介します。
自分がスマホをどれくらい使っているか把握する
早速デジタルデトックスを始めていくのですが、その前に、まずは自分が毎日スマホをどのくらい使っているのか把握することからやってみましょう。iPhoneの「スクリーンタイム」などの機能を使うと、簡単に1日のスマホの使用時間を知ることができます。これを毎日チェックすることで、デジタルデトックスへの意識を高められるだけでなく、自分の最終的な目標を具体的に数値で設定しやすくなります。自分がスマホを使わないように努力した分だけ、それが数値として目に見える形で示されるので、デジタルデトックスがうまく行っているということを実感することができます。
アプリの通知をオフに設定する
アプリの通知を見ると、どうしても見たくなってしまうという人は多いはず。そこで、スマホを使うことを全面的にやめるというのではなく、アプリの通知をオフに設定するだけでスマホの使用時間を減らすことが可能な場合もあります。スマホを手に取り使い始めるきっかけが「通知」という人の場合は、効果的な方法かもしれません。スマホの電源を切るなど全てをシャットアウトしてしまうと、周りに迷惑がかかるなど日常生活に支障が出る場合があるので、デジタルデトックスに抵抗がある人はまずアプリの通知をオフにすることから始めてみましょう。
時間を決めて使う
時間を決めてスマホを使うというのも良い方法です。「使うのは1日〇時間まで」「使うのは〇〇のタイミングだけ」「寝る前はスマホを絶対に使わない」という風にマイルールを作り、守れたら手帳にシールを貼るなど工夫して継続できるようにしましょう。
また、デジタルデトックスに有効なアプリも存在します。例えばタイマーを起動させてスマホを操作しない時間の分だけ魚を育てることができるアプリ(アプリ名:スマホをやめれば魚が育つ)はスマホを使わない時間に特別感を持たせ、楽しくデジタルデトックスに取り組むことができるのでおすすめです。
スマホを強制的に使えなくする
寝る前などスマホを絶対に使いたくない時は、スマホと物理的な距離を置きましょう。例えば寝室にはスマホを持ち込まないというルールを作って、徹底して守るようにしましょう。物理的な距離があれば、わざわざ起きてスマホを取りに行くというアクションをする気力を起こさせないためデジタルデトックスに有効であると言えます。
また、スマホを使いたくても使えないように、スマホに好きな時間(11時間まで)だけロックをかけられるアプリ(アプリ名:Detox)もあります。通知をオフに設定しても、マイルールを決めてもダメで、どうしてもスマホを触ってしまうという人に適しています。ただ、長時間ロックをしてしまうと誰かがあなたと連絡を取れずに困る恐れがあるので、身近な人には事情を話しておくとスマートです。
スマホを使わない旅に出る
一般的に、現代社会では旅行こそスマホが必需品であるとされています。なぜなら、慣れない土地では乗換案内のアプリや地図アプリが無いと満足に動けないと思われているからです。
しかし、デジタルデトックスではスマホを持たず地図や電車の路線図を頼りに旅をすることをおすすめします。不便かもしれませんが、分からないことは人に聞くなどすれば人と接する機会が増えて思い出にも残りやすいというもの。そして、すぐスマホに頼ろうとしないで自分の頭で考える癖がつくので、脳トレにもなります。時間を気にせず、ゆったり、気の向くままに旅をすることで、SNSやインターネットばかり見て疲れた脳や心を癒すことができます。
最近は、デジタルデトックスを取り入れた旅行プランなどもあるようなので、それを利用するのも良さそうです。くどいようですが、旅行の前には身近な人に一言、デジタルデトックスのための旅行であることを伝えるようにしましょう。
デジタルデトックスを自分のペースで始めてみよう
デジタルデトックスのメリットやデメリット、やり方などについて解説してきました。デジタルデトックスは、ある日突然スマホを完全に手放すべきというものではありません。そもそも、スマホは私たちの生活からすでに切り離せないものになっているのですから、完全に手放すというのは現実的ではないのです。そのため、デジタルデトックスの中でも軽度なもの(アプリの通知をオフにするなど)から試してみることをおすすめします。
しかし、スマホに依存し、やめたくてもやめられない状態までになってしまっているのなら話は別です。スマホは私たちの生活に必要不可欠なものですが、依存状態から抜け出すためにデジタルデトックスを強制的にでも試してみる価値は大いにあります。デジタルデトックスの中でも軽度なものを試しても効果が無かったら、スマホを強制的に使えなくするなどの方法を試すことも視野に入れましょう。デジタルデトックスを実践し、スマホに振り回されるのではなく、スマホをうまく使いこなす日常を手に入れてください。
自分で「こうなりたい」という目標を決めて、それに向けてご紹介した方法でデジタルデトックスに取り組むのが良いです。できることから始めて、自分のペースで少しずつスマホの使用時間を減らしていきましょう。