ハンディキャップを補うために受けられる障害福祉サービスの種類を紹介!

公開日:2024/03/01
ハンディキャップを補うために受けられる障害福祉サービスの種類を紹介!

身体や精神などさまざまな分野でハンディキャップを抱える障害者の多くは、日常生活や社会生活において不自由が生じています。障害者のハンディキャップは自力で埋めづらく、埋めるための負担も小さくありません。
各種のハンディキャップを埋める支援策として「障害福祉サービス」が提供されています。多方面からの支援により、障害者が日常生活や社会生活を送りやすくするものです。障害に苦しんでいる方は、自分が受けられる支援サービスを把握して積極的に活用しましょう。
この記事では障害福祉サービスについて概要や種類などを紹介します。

障害福祉サービスとは

障害福祉サービスとは、障害者を対象に提供される各種サービスの総称です。障害者総合支援法に基づき提供されるもので、障害者の日常生活と社会生活を総合的に支援します。障害にはさまざまな種類があるため、「できることやできないことがまったく同じ」というケースはほぼありません。障害者ごとのハンディキャップを鑑みて、最適な内容・程度の支援サービスが提供されます。
障害福祉サービスは大きく「介護給付」と「訓練等給付」の2種類に分けられます。介護給付は日常生活を支援する介護サービスが、訓練等給付は社会生活を支援する訓練サービスが中心です。

障害福祉サービスの種類(介護給付)

障害によって日常生活に支障をきたしている場合は「介護給付」を受けられます。必要な介護の程度を決める「障害支援区分」の認定が必要で、認定区分によって受けられる支援の種類が変わります。
介護給付はさらに大きく3パターンに分けられます。以下で各パターンを解説します。

訪問系

訪問系の福祉サービスは、障害者が暮らす家や外出先などにスタッフが訪問して支援するものです。自力での移動が難しい方のために、日常生活や情報提供などさまざまな支援を行います。訪問系に分類されるサービスは以下のものです。

・居宅介護
障害者の家に行き、入浴・排泄・食事の介護などを行います。

・重度訪問介護
重度の肢体不自由や知的障害などを抱える方の家に行き、入浴・排泄・食事の介護などや外出時の移動援助などを行います。

・同行援護
視覚障害によって移動が困難な方に同行して、移動の補助や外出時に必要な視覚情報の提供などを行います。

・行動援護
知的障害や精神障害などによって自己判断能力が制限されている方に同行して、外出時の援護や各種行動時の危険を回避する支援を行います。

・重度障害者等包括支援
重度の障害により介護の必要性が非常に高い方を対象として、各種の障害福祉サービスを包括的に提供します。

日中活動系

日中活動系の福祉サービスは、医療機関や障害支援施設などでスタッフが障害者を支援するものです。「日中活動」という名前ですが、種類によっては夜間の支援活動も発生します。日中活動系に分類されるサービスは以下のものです。

・短期入所
介護者が病気になるなど何らかの理由で介護できなくなった際に、一時的に施設で入浴・排泄・食事の介護など各種サービスを提供します。夜間も対象です。

・療養介護
医療と常時介護が必要な方に対して、医療機関で介護・機能訓練・日常生活支援などを行います。日中の支援が中心です。

・生活介護
常時介護が必要な方に対して入浴・排泄・食事の介護などを行います。同時に、軽作業のような生活活動や創作活動の機会を提供します。

施設系

施設系の福祉サービスは、障害者を対象とした福祉施設でさまざまな支援を行うものです。施設系に分類されるサービスは「施設入所支援」の1種類のみが存在します。

・施設入所支援
障害福祉施設の入所者を対象に、入浴・排泄・食事の介護や生活関連の相談・助言などを行います。主に夜間の支援を担当します。

障害福祉サービスの種類(訓練等給付)

障害によって社会生活に支障をきたしている場合は「訓練等給付」を受けられます。介護給付と異なり障害支援区分の認定は必要ありません。サービスによっては暫定支給期間が設けられるため、事前に確認しておきましょう。
訓練等給付はさらに大きく2パターンに分けられます。以下で各パターンを解説します。

居住支援系

居住支援系の福祉サービスは、障害者が生活力を身につけられるようにスタッフが支援するものです。一人暮らしだけでなく「グループホーム」と呼ばれる共同生活施設も対象とされます。居住支援系に分類されるサービスは以下のものです。

・自立生活援助
一人暮らししている、あるいは一人暮らしを希望している障害者に巡回訪問や支援などを行います。体調や家事などを確認して、適宜助言や医療機関との連絡調整などをします。

・共同生活援助
グループホームで共同生活している障害者を対象に、相談や各種生活支援などを行います。夜間や休日の支援が中心です。

訓練系・就労系

訓練系や就労系の福祉サービスは、障害者が自立して生活・就労できるように支援や訓練を行うものです。生活や就労に必要な知識・技能の習得を支援します。訓練系・就労系に分類されるサービスは以下のものです。

・自立訓練(機能訓練)
身体面でハンディキャップを抱える方が自立して生活できるように、理学療法や作業療法などを用いて支援します。障害者支援施設だけでなく障害者の自宅でも実施します。

・自立訓練(生活訓練)
知的障害や精神障害を抱える方が自立して生活できるように、生活能力をつける訓練や助言などを行います。食事や健康管理、日常的に必要なルール・マナーなどが対象です。

・就労移行支援
一般就労を目指す障害者が就職できるように、各種の訓練や支援などを行います。障害者は事業所に通いつつ、スキル習得訓練や面接練習などを受けます。

・就労継続支援(A型)
主に一般就労が難しい障害者を中心に、職場や賃金を提供しつつ就労スキルや知識を習得するための支援をします。雇用契約を結ぶため、障害者はある程度の収入を得られます。

・就労継続支援(B型)
一般就労が難しい障害者に就労や生産活動の機会を提供します。A型と異なり雇用契約を結ばないため、就労時間や作業内容に融通を利かせやすいサービスです。

・就労定着支援
障害福祉サービスを利用して一般就労した人が長期間働き続けられるように、さまざまなサポートを行います。障害者との面談や企業との調整などが主な内容です。

訓練系・就労系のうち、就労継続支援についてはこちらの記事も参考にしてください。

障害福祉サービスを受ける方法

障害福祉サービスを受けるためには、介護給付と訓練等給付で異なる手順が必要です。
介護給付の場合は最初に障害支援区分の認定調査が行われます。障害者の心身について状況調査をして、医師の意見書と照らし合わせて認定します。認定後にサービス等利用計画案を作成して、支給決定後に福祉サービスの利用が可能になります。
訓練等給付の場合は障害支援区分の認定が必要ないため、直接サービス等利用計画案を作成します。介護給付と同様に、支給が決定次第福祉サービスの利用が可能です。
障害福祉サービスを受けるためには、原則として障害者総合支援法第4条で定められた「障害者」の定義を満たしている必要があります。障害者総合支援法における障害者の定義を整理すると以下のとおりです。

  • 18歳以上の身体障害者
  • 18歳以上の知的障害者
  • 18歳以上の発達障害者
  • 18歳以上の難病患者

しかし、障害福祉サービスの利用に障害者手帳は必ずしも必要になりません。障害者手帳を持っていない場合でも、支援が必要であるとみなされれば介護給付・訓練等給付ともに利用できます。障害福祉サービスを受けたいと考える場合は、自分が利用可能か自治体に問い合わせてみましょう。

まとめ

障害者を支援する障害福祉サービスの種類を中心に紹介しました。各種のサービスを活用して、障害者でもハンディキャップを補いながら生活できます。日常生活から一般就職後のアフターケアまで、幅広く手厚い支援を生かしましょう。
障害福祉サービスによって自立できる障害者が増えると、社会をより多くの人数で動かせるようになります。少子高齢化の進行で労働力が不足している日本では、障害者も社会の一員として重要です。社会から受けた支援に対する恩返しの意味でも、ハンディキャップを乗り越えつつ社会で活躍していきましょう。