障害にはどのような種類がある?障害ごとに求められる配慮も紹介!

公開日:2023/12/28
障害にはどのような種類がある?障害ごとに求められる配慮も紹介!

社会的弱者への理解や支援が求められる現代、子どもやお年寄りと同様に障害者への理解も重要です。幅広い分野でハンディキャップを抱える障害者の方と接するためには、障害の特性や必要な配慮などの知識が欠かせません。

障害による問題は目に見えない部分で発生しているケースも多くあります。障害に関する幅広い知識を身につけて、最適な配慮・行動をとれるよう意識しましょう。 この記事では障害の種類や必要な配慮などを紹介します。

視覚障害

視覚障害は、視覚・視野の面に発生している障害で生活に支障が出ている状態を指します。「眼鏡をかけても一定以上の視力が出ない」「視野が狭く周囲の人や物にぶつかる」などの問題が多く生じます。

視覚障害の等級は1~6級までに分かれており、視力や視野角などを基準に診断されます。「遠くまではっきり見えていても視界の端がまったく見えない」というパターンもあります。視覚に関するハンディキャップとして色覚異常や夜盲も挙げられますが、これらの症状は障害者手帳の交付対象に含まれていません。

視覚障害者の方は周辺の物や文字などを認識しづらい特性があります。視覚障害者と接する際は物の配置を変えない、方向を具体的に伝えるなどの配慮を行いましょう。

聴覚障害

聴覚障害は聴力の面で生活に支障が生じている状態を指します。人の話し言葉や周囲の音声などを聞き取りづらくなり、コミュニケーションや移動など多くの場面で問題が生じます。

耳栓をしているように音が聞こえづらくなる「伝音難聴」や言葉も聞こえづらい「感音難聴」、両方の特徴を持っている「混合難聴」の3種類に分けられます。聴覚障害の等級は2級・3級・4級・6級の4段階に分かれており、聴力レベルを基準に診断されます。

聴覚障害者は基本的に声を用いたコミュニケーションが困難ですが、人によっては口の形や文脈などから相手の言葉を読み取れるケースもあります。聴覚障害を抱える方と接する場合、手話や筆談を用いるべきか確認しましょう。

肢体不自由

肢体不自由は病気やけがなどで手足を欠損しており、補装具を使っても日常生活動作が困難な状態を指します。腕や手などに障害をもつ「上肢機能障害」と足やひざなどが該当する「下肢機能障害」があり、上下両方を兼ねている「上下肢機能障害」も存在します。その他、肢体不自由を抱える方は脊髄損傷や筋ジストロフィーなどにより全身に障害を抱えているケースも少なくありません。

肢体不自由の障害等級は上肢・下肢ともに1~7級まで分かれており、7級は複数の異常がみられる場合に手帳交付の対象となります。

肢体不自由の障害特性は幅広く、障害者と接する際には一人ひとりにあわせた配慮が求められます。力を入れずに保持できる道具や車いすでも通りやすい空間の確保など、必要な配慮を考えて行動しましょう。

病弱・身体虚弱

病弱・身体虚弱は、さまざまな病気に罹っている、あるいは罹りやすい状況が継続している状態を指します。医学用語ではなく、一般的な言葉および行政用語として用いられる言葉です。

慢性の呼吸器疾患や腎臓疾患、神経疾患などが該当しており、適切な医療や生活規制が求められます。身体虚弱も同様に、虚弱状態が継続していれば生活規制を必要とされます。

病弱・身体虚弱の方が抱えるハンディキャップは病気の種類や個々人で大きく変わるため、周囲の人が接する際は都度適切な配慮を考えなくてはなりません。「人工透析のために通院が必要」「運動制限のために階段を昇り降りできない」「体温調整をうまく行えず気温変化に弱い」など多岐にわたります。障害者の方が必要としている対応をしっかりと把握したうえでの対応が必要です。

言語障害

言語障害は、言語情報の伝達や処理において支障が出ている状態を指します。発音やリズムなどの問題で円滑なコミュニケーションをとれず、生活に支障をきたしたり本人が引け目を感じたりします。

言語障害は発声発語器官に原因がある「構音障害」と、大脳の言語領域に原因がある「失語症」の2種類に分けられます。構音障害は基本的に筆談が可能ですが、失語症は読み書きに影響が出て筆談できないケースも少なくありません。

コミュニケーションをとらないと障害による影響が出づらいため、言語障害は周囲から見逃されやすい問題があります。言語障害者の方自身は話す際に焦りや苛立ちを感じやすく、コミュニケーション能力の低下や心理面の問題などにつながる恐れもあります。言語障害を抱える方と接する際には、相手の気持ちに寄り添ったり発声できるまで待ったりする配慮が必要です。

知的障害

知的障害は、認知や言語など知的機能の障害が原因で生活に支障が出ている状態を指します。症状が重いほど早くから診断されやすく、軽症の場合は大人になるまで気づかない場合もあります。

知的障害の等級は1~3級に分けられており、知能指数だけでなく日常生活における援助の必要性も考慮して診断されます。3級は労働に制限を受けるものの日常生活での援助は不要な程度ですが、1級の場合は日常生活でも常時援助が必要になります。

知的障害者の特徴は個人差が大きく、各人に応じた対応が必要です。「言葉を理解しづらい場合はゆっくり話す」「状況に合わせた対応をとれないならば必要な行動と順序をメモでまとめる」などの適切な配慮を行いましょう。

発達障害

発達障害は脳機能の発達に関するさまざまな障害を指します。特定のタイプにのみ強くあてはまるケースよりも、複数のタイプが少しずつ該当するケースのほうが多くみられます。

発達障害者にあてはまる大きなタイプが「広汎性発達障害」です。自閉症やアスペルガー症候群などの総称であり、昔はそれぞれ別の障害として扱われていました。広汎性発達障害以外には「注意欠陥多動性障害(ADHD)」「学習障害(LD)」「吃音症」なども発達障害のタイプとしてみられます。

多くの場合は複数の症状が重なり合っているため、同じ配慮をしても人によって助けにならない可能性があります。発達障害者の方一人ひとりができること・できないことを把握して、相手に合わせた配慮を行わなくてはなりません。

精神障害

精神障害は脳内で器質的変化や機能的障害が発生して、心身への症状や行動変化などが起こる状態を指します。症状が外見からわかりづらく、本人でも変化に気づけないケースも珍しくありません。

精神障害には「統合失調症」「気分障害」「依存症」など、多くのタイプが存在します。うつ病やパニック障害なども精神障害の一部です。服薬のみで治療できるケースから入院が必要なケースまで、症状の重さは幅広く存在します。

精神障害者の方は自分で障害の存在に気づいていない場合も多くあり、必要以上に頑張りすぎて症状の悪化を招く恐れがあります。身近な人が「精神障害かもしれない」と感じたら、早めに病院で診断してもらったり休養をとってもらったりできるように努めましょう。

まとめ

さまざまな障害の種類や必要な配慮などを紹介しました。障害は身体・知能・精神など多くの要素を対象に発症しえます。いずれの障害も生活に支障をきたすため、周囲からの理解や配慮が欠かせません。

障害福祉や障害者の社会進出が求められる時代であり、身近に障害者の方がいない場合も今後接する可能性は充分にあります。障害について知識を持ち、障害者の方も自分自身も幸せになれるように行動しましょう。