てんかんの症状や治療って?障害者手帳の等級についても解説

てんかんという病気にあまり馴染みのない人も多いでしょう。ここでは、てんかんの症状や治療法、障害者手帳の等級について調べたことを分かりやすい言葉でまとめています。
※筆者は医師ではありません。この記事はインターネット上で筆者が調べたものを筆者の言葉で執筆している物なので必ずしも正しいとは限りません。てんかんについて分からないことがある場合は、必ず医師に相談するようにしてください。
てんかんとは?発作の症状や発作時の対応について詳しく解説
てんかんという病気の定義を説明できますか?ここでは、てんかんの定義の他にてんかん発作の分類や症状について解説します。また、てんかん発作時に周りの人がどう対応すべきなのかについても解説していきます。
てんかんとは
てんかんの定義について、厚生労働省は次のように言及しています。
「てんかん」とは、「てんかん発作」を繰り返し起こす状態です。「てんかん発作」は、脳にある神経細胞の異常な電気活動により引き起こされる発作のことで、突発的に運動神経、感覚神経、自律神経、意識、高次脳機能などの神経系が異常に活動することで症状を出します。そのため、「てんかん発作」ではそれぞれの神経系に対応し、体の一部が固くなる(運動神経)、手足がしびれたり耳鳴りがしたりする(感覚神経)、動悸や吐き気を生じる(自律神経)、意識を失う、言葉が出にくくなる(高次脳機能)などのさまざまな症状を生じます。
てんかんは脳の病気であることが分かりました。てんかんは、乳幼児、小児、学童、思春期、成人、高齢者のどの年齢層でも発症する可能性がありますが、特に小児と高齢者で発症することが多いと言われているそうです。原因は脳の疾患ですが、生まれた時からのものである脳の構造の異常や代謝異常症、遺伝子の異常の他に、頭部外傷や中枢神経感染症、自己免疫性脳炎、脳卒中、認知症も原因となるそうです。
参照:
てんかん|こころの情報サイト (ncnp.go.jp)
てんかん対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
てんかん発作の分類と症状
てんかん発作はその症状によって細かく分類されています。てんかん発作の分類と症状について解説します。まず、電気的興奮が起こる部位やその広がり方で「焦点発作(部分発作)」「全般発作」「起始不明発作」に分けられます。
【焦点発作(部分発作)】
過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こります。意識障害があるもの、無いものに分けられ、それによって症状にも違いが出てきます。
●焦点発作(部分発作)の症状
(意識がある場合)
- 手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする
- 体全体が片方に引かれる、回転する など
- 輝く点や光が見える、音が響く、耳が聞こえにくい など
(意識が無い場合)
- 急に動作を止め、顔をぼーっとさせる など
- 辺りをフラフラと歩きまわる、手をたたく・口をモグモグさせるといった無意味な動作を繰り返す など
【全般発作】
過剰な興奮が大脳の両側の広い範囲で起こります。ほとんどのケースで発作時に患者さんの意識はありません。
●全般発作の症状
(強直発作)
- 突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くした状態が数秒~数十秒間続きます。
(間代発作)
- 膝などを折り曲げて手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。数十秒で終わるケースが一般的ですが1分以上続くケースもあります。
(欠神発作)
- 突然意識がなくなり、ぼんやりした目つきになる
- 眼球が上転する
- 1秒間に3回程度、まぶたがピクピクする
てんかんの分類と症状についてお伝えしてきましたが、これらの分類に当てはまらないものもあります。また、上記で記載した症状はあくまで代表的なものなので、必ずしもきれいに当てはまるわけではありません。
症状は重いものから軽いものまで様々で、軽いものだと、突然反応が無くなり数秒間だけ宙を見つめることが発作という人もいます。その場合、他の人から気づかれないことさえあるのです。
参照:
てんかんについて | てんかんとは | てんかんinfo (tenkan.info)
てんかん対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
てんかん発作時に周りの人がとるべき対応について
てんかんで症状が重いものの場合は、患者さんの全身がガクガクふるえたりその場に倒れ込んだりする時があります。この時、周りの人はどのような対応をとればいいのでしょうか。やるべきこと、やってはいけないことに分けて解説します。
【やるべきこと】
- 火、水、高い場所、機械のそばなど危険な物・場所の近くから本人を遠ざける
- 壊れると危険なもの(眼鏡など)、けがや火傷などを負いかねないもの(ヘアピンなど)は外す
- 首まわり(ボタンやネクタイなど)を緩め、ベルトを外して楽な状態にし、頭を保護して(クッションを敷くなど)仰向けに寝かせる
- 唾液や嘔吐物を喉に詰まらせないために、けいれん終了後は身体を片側に傾け、あごは伸ばす
- 全身のけいれんが5分以上続く場合、けいれん終了後また起こった場合、意識が戻らない場合、発作中にけがをした場合、水中で発作が起こった場合などはすぐに救急車を呼ぶ
【やってはいけないこと】
- 本人の口の中にタオルを入れたり口の中の食べ物を取ろうとしたりしてはいけない
→窒息や口の中を傷つける恐れがある - けいれんの間に身体を無理に押さえつけない
→押さえつけても発作が早く終わることはない - 発作が終わった直後に水や薬を飲ませない
→窒息や嘔吐の原因になる
発作は突然起こります。てんかんのある人が身近にいる場合、正しい知識を得て発作の時に備えましょう。発作の時は騒ぎ立てず、冷静になることが大切です。
参照:
てんかんネット | 発作時の対処法 (alfresa-pharma.co.jp)
発作の介助と観察 | 公益社団法人 日本てんかん協会 (jea-net.jp)
てんかんの治療法って何?薬物療法とその副作用について紹介
てんかんはどのようにして治療するのでしょうか。ここでは、てんかんの治療法について紹介します。
薬物療法
てんかんの治療は薬物療法が主流です。使うのは「抗てんかん薬」で、毎日服用することでてんかん発作を抑制していきます。抗てんかん薬とは、下記のような薬のことを指します。
- 脳の神経細胞の電気的な興奮をおさえる
- 興奮が他の神経細胞に伝っていかないようにし、発作の症状をおさえる
抗てんかん薬には様々な種類があり、発作の種類や患者さんの年齢、性別、副作用などにより使用する抗てんかん薬は異なります。
抗てんかん薬には下記のような副作用があります。
- 眠気
- ふらつき
- 発疹
- 肝機能の低下(長期間の服用により)
- 白血球減少(長期間の服用により)
- 脱毛(長期間の服用により)
眠気・ふらつきなど飲み始めの副作用は、薬を少量から始めてゆっくり増やしていくことで防ぐことが可能と言われています。
参照:
診断と治療 | 公益社団法人 日本てんかん協会 (jea-net.jp)
てんかん対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
抗てんかん薬の副作用とは? | てんかん情報センター (hosp.go.jp)
外科手術治療
脳の手術治療は、条件を満たす場合にのみ行われる可能性があります。外科手術が可能なてんかんと手術の対象にならないてんかんがあり、てんかんがどちらに当てはまるのか、手術を行う条件を満たしているかどうかによって手術を受けられるかどうかが決まるようです。
参照:外科手術 | 診断と治療 | てんかんinfo (tenkan.info)
食事療法
薬物療法を行っても発作が抑えられない場合に検討されることがあります。代表的なものとして「ケトン食療法」があります。糖質(炭水化物)を制限し、脂質を多く摂る「ケトン食療法」により難治てんかんの発作が減少または消失する場合があります。また、「ケトン食療法」は主に小児が対象となっています。
参照:
診断と治療 | 公益社団法人 日本てんかん協会 (jea-net.jp)
その他の治療法 | 診断と治療 | てんかんinfo (tenkan.info)
迷走神経刺激療法
薬物療法で発作が抑制されない場合、迷走神経刺激療法という治療が検討される場合があります。迷走神経刺激療法は、電気刺激を出すことのできる小さな器機を体に埋め込み頸部の迷走神経に電気刺激を与えることでてんかん発作を減少させることのできる治療です。
参照:
迷走神経刺激療法(VNS) | てんかん情報センター (hosp.go.jp)
その他の治療法 | 診断と治療 | てんかんinfo (tenkan.info)
てんかんで障害者手帳はもらえる?手帳の種類や等級などを解説
てんかんのある人は障害者手帳をもらえるのでしょうか?もらえるとしたら何の種類の手帳なのか、等級はどんな風に決定されるのかについて解説していきます。
てんかんのある人は精神障害者保健福祉手帳をもらえる
てんかんのある人は精神障害者に分類されます。よって、精神障害者保健福祉手帳を申請することが可能です。2年ごとに手帳の更新が必要ですが、持っていると公共料金などの割引や所得税・住民税の控除、公共交通機関の割引などが受けられます。
参照:障害者手帳・障害年金 (ncnp.go.jp)
等級の分類について
精神障害者保健福祉手帳には1級~3級の等級があります。等級の数字が小さいほど、重度の障害を持っていることになります。てんかんの場合、どの等級になるかは、発作の種類や頻度・日常生活の自立状況などにより判断されます。発作の種類は次の2つに分類します。
- 意識障害はないが、随意運動が失われる発作。
意識を失い行為が途絶するが、倒れない発作。 - 意識障害の有無を問わず、転倒する発作。
意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作。
等級の判定基準は次のとおりです。
【1級】
2の発作が月に1回以上
【2級】
1の発作が月に1回以上
または2の発作が年に2回以上
【3級】
1の発作が月に1回未満
または2の発作が年に2回未満
精神障害者保健福祉手帳にてんかん患者が申請する場合、医療費の自己負担が1割になる自立支援医療制度(精神通院)にも同時に申請するのが良いでしょう。診断書1通が両方の申請に使えます。診断書を書いてもらうには多額のお金が必要な場合があるので、この方法は効率がよいのに加え節約にもなりおすすめです。
てんかんのある人をサポートするために必要なこととは?
てんかんは発作で意識が消失したり、身体のコントロールがきかなくなったりする病気です。しかし、発作が起こるのは数秒~数分間のことが多く、それ以外の時間はごく普通の日常を過ごせます。周りがてんかんという病気のことを理解して、その人らしく能力を発揮できるように配慮してあげることが、てんかんのある人に対する支援の一つなのではないでしょうか。
※筆者は医師ではありません。この記事はインターネット上で筆者が調べたものを筆者の言葉で執筆している物なので必ずしも正しいとは限りません。てんかんについて分からないことがある場合は、必ず医師に相談するようにしてください。
精神面の病気についての記事は他にもあります。他の病気についても知りたい場合は、テーマごとに記事を一覧にしているこちらのまとめ記事をご覧ください。