勉強と同じく大切!子どもの心を育む自然体験活動のススメ

公開日:2024/10/01
勉強と同じく大切!子どもの心を育む自然体験活動のススメ

森を探検したり、川の生き物を捕まえて観察したりと、自然の中には楽しい遊びがたくさんあります。これらの遊びはただ楽しいだけではなくて、子どもの心を育むのに大切な学びが隠されています。この記事では、自然と親しむことで得られる学びを紹介し、自然体験活動の意義についてお伝えします。

国も推奨する自然体験活動とは?環境教育との繋がりも解説

自然体験活動は、生きていることの喜びや楽しさを実感できる、として国も推奨しています。また、環境教育との繋がりもあります。ここでは、自然体験活動の定義や意義、また環境教育と自然体験活動がどう関わっているのかについて解説していきます。

自然体験活動の定義と意義

自然体験活動の定義について、文部科学省は「自然に触れて感じて学ぶ活動のこと」と言及しています。また、自然体験活動の意義について次のように説明しています。

(以下要約)
今日の青少年から失われた、または青少年の成長に不可欠な学びの機会は以下である。

  • 活発な身体活動
  • 他者との積極的なコミュニケーション
  • 自然・人・社会との直接的なふれあい
  • 創造・工夫・苦労

自然体験活動はこれらの機会をバランスよく豊富に提供できる。

引用・参照:「自然体験活動」の成果と意義 (mext.go.jp)

文部科学省の資料をまとめましたが、簡潔に言えば、自然体験活動に取り組むことで「生きる力」を育むことができる、ということではないでしょうか。文部科学省の資料を読むと、国が自然体験活動に多大なる期待を寄せていることが分かります。

環境教育と自然体験活動の関係について

環境教育の最終的な目的は「環境保全活動に自主的に取り組めるようになること」ですが、環境教育の最初の段階である「自然環境に興味を持つ」ことと自然体験活動は大いに関係があります。自然と触れ合いながら思いっきり遊ぶことで自然のことが好きになったり興味を持ったりして自然を身近に感じられるからです。
このように、自然体験活動は環境教育の導入部分も担う素晴らしい活動だということが言えます。

自然体験活動の活動例を紹介!そこから得られる学びとは?

ここでは自然体験活動の活動例をいくつかご紹介します。また、そこから得られる学びについても合わせて解説します。

草や木と触れ合う

様々な色の草や木の枝、木の実などを集めたり、手のひらに乗せて観察したりします。大人と一緒に、アクティビティを楽しみながら活動するとより得られる学びが多くおすすめです。アクティビティには、例えば、色や形を指定された自然物を集めてビンゴを目指す「ネイチャービンゴ」、自分の体が虫の大きさになったつもりで虫眼鏡を覗きながら地面を観察する「ミクロハイク」などがあります。

【得られる学び】

  • 自然に親しみを持ち、その大きさや美しさ、不思議さに気づく。
  • 秋の紅葉、冬には雪が降るなど、季節によって自然には変化があることに気づく。
  • 普通に生活しているだけでは気づかなくても、視点を変えるだけで違った景色が見えるということを知る。

参照:自然体験プログラム1-草木と- – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

虫や動物と触れ合う

虫取り網で虫を捕まえて観察したり、友達と一緒に秋の虫の声を聴いたりします。こちらも、大人と一緒にアクティビティを楽しみながらの活動をおすすめします。アクティビティには、雪の上に残っている足跡をたどって足跡の主の居場所に思いを馳せる「マントラッキング」、バッタの顔をよーく観察する「バッタの顔博覧会」などがあります。

【得られる学び】

  • 身近な虫や動物に親しみを持ち、生命の尊さに気づいてそれを大切にする。
  • いつもとは違った角度でものを見て考えることにより、世の中には違った見え方・考え方が存在することを知る。

参照:自然体験プログラム2-昆虫や動物と- – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

自然と楽しく触れ合えるアクティビティを何個かご紹介しましたが、下記のホームページも参考にしました。こちらに載っているのはネイチャーゲームと呼ばれるもので、自然との触れ合いの中で自然との繋がりに気づくことができる170種類以上のアクティビティが存在します。大人も子どもも一緒に楽しめるので、ぜひ参考にしてみてください。

参照:ネイチャーゲームアクティビティ一覧 | 公益社団法人日本シェアリングネイチャー協会 (naturegame.or.jp)

クラフト

自然物を使って工作を行います。キャンプの空き時間で行えば、素敵な思い出を形にして持ち帰ることができます。クラフトの例として、「木の葉のしおり」、「リース」、「どんぐりコマ」などが挙げられます。

【得られる学び】

  • 道具を安全に使う方法を学ぶ。
  • 自然にあるものの形や色に興味を持ち、それを生かして工作を楽しむことができる。

野外で料理する

野外で仲間と共に料理をすることには、たくさんの学びが詰まっています。一口に料理と言っても、火を起こすことから野菜を切ること、調味料を入れて煮込むこと、更には洗い物をすることなど多くの工程があるため、みんなで協力しないと成り立ちません。また、自分たちで作った料理の味はきっと格別で、その美味しさが子どもの記憶に残ることでしょう。

【得られる学び】

  • みんなで協力して一つのことを成し遂げる喜びを知る。
  • 包丁や鍋、フライパンなどの道具の安全な使い方を知る。
  • ゴミの分け方や、食器を洗う時のマナーを学び、自然を大切にする気持ちを育む。
  • 料理を作ることの大変さを知り、いつも料理を作ってくれる家族への感謝の気持ちを持つ。

ナイトハイク

大人と一緒に夜の自然の中を歩きます。視覚に頼るのではなく聴覚や嗅覚を研ぎ澄ませることで、昼間に気づかなかった音や土のにおいを感じ取ることができます。「3分間耳を澄ましていろいろな音を聞き取る」「ブルーシートに寝転がって星空を眺める」などの五感を使ったアクティビティを実施するのも自然を身近に感じることができて良い経験になるでしょう。

【得られる学び】

  • 普段体験している「夜」は意外と明るいことに気づく。
  • 普段、自分がどれだけ視覚に頼っているかということに気づく。
  • 月の明るさのありがたみを感じる。
  • 仲間がいることの心強さを感じる。

参照:ナイトハイク – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)

星空を見上げる

夜、ライトはつけずに、みんなで星空を見上げます。星座を探したり、ぼーっと星空を眺めたり、流れ星が流れるのを待ったりと過ごし方は様々です。

【得られる学び】

  • 人工の光が少ないところで見る星空の美しさに気づく。
  • 星によって明るさ・色が違うことや、星座について学ぶ。

自然体験活動の活動例を紹介してきました。どの活動も、得られる学びが多いことに驚かされます。しかし、大切なのは学びに焦点を当てることではなく楽しさに重点を置くことです。楽しくないと、子どもの心は離れてしまい本末転倒になってしまうからです。

自然体験活動を始めるには?自然学校での体験の良さを知る

自然体験活動はいつでも誰でも簡単にできるものですが、自然への気づきを深めるには自然学校などで行われる自然体験プログラムに参加するというのも一つの方法です。ここでは、自然学校などで行われる自然体験プログラムとはどんなものなのか、また札幌のどこで体験できるのかをお伝えしていきます。

自然学校という場所

自然学校とは、キャンプや自然観察を始めとする自然体験活動を行うための「場」「プログラム」「指導者」を提供できる施設や団体のことを指します。自然学校には指導者がいて、彼らは自然と人と地域とをつなぐプロフェッショナルです。
素人が自然観察に出かけようとしても自然のことをよく知らないので、どんな視点で自然を観察すればいいのか、どうすれば自然とつながりを持てるのかが分かりません。指導者にガイドをお願いすることで、指導者によるたった一言が子どもの自然への気づきを深めることにだってなり得るのです。
安全に自然体験活動を行うことができることもメリットです。指導者はそれぞれの自然学校が管轄するフィールドのことを知り尽くしているので、どの場所が危険なのかがよく分かっています。フィールドのことで分からないことがあれば、指導者に聞いてみましょう。

参照:自然が先生?!「自然学校」が目指すものとは♪ | Greenfield(グリーンフィールド)

自然学校などで行われる自然体験プログラム

自然学校などで行われる自然体験プログラムには、日帰りのものと泊まりで行うものがあります。日帰りのものは気軽に申し込めるのがメリット。放課後に集まって行うものもあるので習い事のような感覚で参加することができますよ。泊まりで行うものはちょっと遠出をするなどして特別な体験ができるよう工夫されたものも多いです。
例えば、2015年にNPO法人ねおすが主催して行ったイエティくらぶ「忍者修行キャンプ」では、忍者になるために必要な「俊敏性」を鍛えたり「変身の術」を使ってみたり「忍者走り」をしたりと、自然との触れ合いと忍者の修行をうまくかけ合わせてキャンプを企画しています。一つのテーマを設定して、それに合わせて面白いこと・ワクワクすること・自然と関わることの楽しさなどをキャンプというパッケージに詰め込んで実施している良い例です。
また、2024年に滝野自然学園が実施した「お父さんと過ごす週末キャンプ」では、親子で力を合わせてテント設営を行ったり、アウトドアクッキングやポップコーン作り、カヌー体験を楽しんだりと、親子でかけがえのない時を過ごす機会を作り出しています。普段はなかなかお父さんとの関わりが持てない家庭でも、こういったキャンプが親子の絆をさらに強くするきっかけになるのではないでしょうか。

参照:
イエティくらぶ「忍者修行キャンプ」 – 子ども達のための自然学校・イエティくらぶ (goo.ne.jp)
滝野自然学園 | Sapporo-shi Hokkaido | Facebook

札幌にある自然学校をご紹介!

札幌にも自然学校が存在します。ここでは、札幌にある自然学校を2つご紹介します。

【札幌まるやま自然学校】
札幌まるやま自然学校は、子どもから大人まですべての人々に開かれた自然体験活動を推進している自然学校です。幼児とその保護者向け、小学生~中学生向けのプログラムやトレッキングを楽しむプログラム、畑や田んぼで過ごすプログラムなど興味深いプログラムがたくさん用意されています。夏休みや冬休みには2泊以上のキャンプも企画されます。ニワトリや馬のお世話、食事作り、ドラム缶風呂など様々な経験ができます。子どもを参加させたら、きっとひと回り大きくたくましくなって帰ってきますよ。

参照:札幌まるやま自然学校 – 札幌まるやま自然学校 (jimdofree.com)

【札幌市滝野自然学園】
札幌市滝野自然学園は、旧滝野小学校の木造の校舎をそのまま利用した野外教育施設です。自然豊かな環境を生かした自然体験活動の場として活用できます。2歳以上の幼児とその保護者向けのプログラム「たきの森のようちえん」や小学生向けのプログラム「たきの森のがっこう」などを実施しています。また、自然体験型のキャンプ事業も行っており、仲間と一緒に魚つりや川遊び、キャンプファイヤー、カヌー体験などが楽しめます。低学年の子どもが参加するキャンプでは、親元を離れるのが心配な場合でも事前説明会があるため不安要素を取り除くことができます。

参照:滝野自然学園について – 滝野自然学園 (syaa.jp)

日常に自然体験活動を取り入れてワクワクドキドキの毎日を

森を散歩する。紅葉の中、赤や黄色に色づいた葉っぱを集める。その葉っぱで何かを作ってみる…。このように、自然体験活動はその人の想像力次第でいくらでも広がりを見せます。
日常に少しだけ自然体験活動を取り入れるだけで普段の生活に彩りが生まれ、子どもの心を育みます。子どもと一緒になって自然に親しみ、ワクワクドキドキの毎日を送ってみませんか。

子どもとの過ごし方についての記事や、アウトドアの記事は他にもあります。子どもといろいろなことを楽しみたい方、アウトドアを満喫したい方は、こちらのまとめ記事もぜひ参考にしてみてください。