MOS資格の受験方法は?メリットや役立つ職種などとあわせて解説!
現代では幅広い業務でパソコンが活用されており、非常に多くの作業で文書作成ソフトや表計算ソフトなどのオフィスソフトが用いられます。各ソフトウェアを適切に使用できれば作業効率の向上が期待できるでしょう。
オフィスソフトの使用スキルを図る方法として「MOS資格」を利用できます。Microsoft社のオフィスソフトを使いこなせると証明してくれるものです。この記事ではMOS資格の概要や試験の受験方法、資格取得のメリット・デメリットなどについて解説します。
MOS資格とは
MOS(Microsoft Office Specialist)資格はMicrosoft社が主催する資格試験です。WordやExcelなど同社のオフィスソフトに関する知識やスキルを評価するもので、「各ソフトウェアを使いこなせる実力がある」という証明になります。試験は実技形式で、実際にパソコン上で各ソフトウェアを操作して受験します。MOS資格について以下で詳しく解説します。
対象のソフトウェア
MOS資格の対象に含まれるソフトウェアは5種類あります。いずれもMicrosoft社の製品で、世界中の企業や個人などが活用しているソフトウェアです。
・Word
文書作成ソフトです。契約書やプレスリリースなど、ビジネス文書の作成に多く用いられます。
・Excel
表計算ソフトです。請求書や見積書など、数字計算を扱う書類の作成に多く用いられます。
・PowerPoint
プレゼンテーションソフトです。プレゼンテーションの資料を作成したり実際に発表したりする際に用いられます。
・Access
データベース管理ソフトです。顧客や売上など各種のデータを管理する際に用いられます。
・Outlook
電子メール・情報管理ソフトです。メールの送受信やスケジュール管理などを行う際に用いられます。
各ソフトウェアはバージョンごとに利用できる機能が異なるため、MOS資格でもバージョンにあわせた複数の試験が実施されています。すべてのソフトウェアで「2016」と「2019」が実施されており、加えてWordとExcelは「365」も受験可能です。
レベル
MOS資格には「一般レベル」「上級レベル」という2段階のレベルが設けられており、ソフトウェアによって受験できる試験のレベルが異なります。WordとExcelは一般・上級ともに実施されていて、PowerPointとOutlookは一般レベルのみの実施です。Accessは2016が一般、2019が上級で実施されています。Access自体が比較的高度なスキルを求められるソフトウェアのためレベルを引き上げられた形で、出題範囲や内容に大きな違いはありません。
Word・Excelにおいて、試験レベルが上がると内容も高度なスキルが求められます。Wordでは目次作成や他アプリからのデータ取り込み、Excelでは条件付き書式やマクロ作成などのスキルが必要です。上級レベルの試験を受験する場合は一般レベルとの違いを調べておきましょう。
称号
MOS資格試験で特定の科目をすべて取得すると、Microsoft社から「称号」を贈られます。複数のソフトウェアを使いこなせる証のため、称号を持っていればより高い実力の評価を得られるでしょう。称号の種類は以下のとおりです。
・MOS Associate
バージョン365と2019で発行されます。どちらも条件は同じで、Excel・Word・PowerPoint・Outlookの4科目中3科目で一般レベルを取得すれば受け取れます。365の場合は2019で取得した科目が混じっていても問題ありません。
・MOS Expert
バージョン365と2019で発行されます。どちらもMOS Associateの取得が必要で、加えて365はExcel・Wordの両方、2019はExcel・Word・Accessから2科目で上級レベルの取得が求められます。Associateと同じく、365の場合は2019で取得した科目が混じっていても問題ありません。
・MOS2016マスター
バージョン2016で発行されます。Word・Excelの上級レベルとPowerPointを取得して、さらにAccess・Outlookのどちらかも取得すれば受け取れます。
MOS資格の受験
MOS資格試験を受験する際は事前の申し込みが必要で、最初に受験方法の決定が求められます。受験日時・受験会場・受験料の支払い方などにかかわってくるため、早めに受験方法を決めて申し込みましょう。MOS資格の受験について以下で詳しく解説します。
受験方法
MOS資格試験は「全国一斉試験」と「随時試験」という2種類の方法で受験できます。違いは申し込み方法や受験場所などで、試験の内容や合格認定証などに差はありません。
全国一斉試験は月に1~2回実施されており、全国で約30ヶ所の受験地域が設けられます。受験する際はMOSの公式サイトで申し込みフォームから申し込みましょう。受験地域ごとに試験日時が異なるため、実施地域とバージョンの確認が必要です。
随時試験はほぼ毎日実施されており、試験会場も全国で約1,500ヶ所設けられます。申し込みは試験会場で直接行います。具体的な実施日や申し込み方法は会場ごとに異なるため確認しておきましょう。
MOS資格試験は会場に用意されたパソコンを使って受験します。そのため、場合によってはパソコン環境が自分と合わず受験しづらく感じるかもしれません。可能であれば、モニターの大きさ・解像度やキーボードの仕様などを会場に問い合わせておきましょう。
参照:全国一斉試験の流れ | オデッセイコミュニケーションズ
随時試験の流れ | オデッセイコミュニケーションズ
受験料
MOS資格試験を受ける際は、レベルごとに設けられた受験料の支払いが求められます。科目やバージョンは金額に影響しないため、一般レベル・上級レベルのどちらを受けたいかで必要金額を把握しましょう。なお、学生であれば学割を使用して通常より安く受験できます。MOS資格試験の受験料をまとめると以下のようになります。
通常価格 | 学割価格 | |
一般レベル | 10,780円 | 8,580円 |
上級レベル | 12,980円 | 10,780円 |
受験料の支払い方法は全国一斉試験と随時試験で異なります。全国一斉試験ではクレジットカードで支払うほか、「受験チケット」を購入しての支払いも可能です。随時試験に支払い方法は会場ごとに異なります。自分が利用したい会場に問い合わせて確認しましょう。
受験資格
MOS資格試験には受験資格が設けられていません。年齢や国籍に関係なく誰でも受験可能です。積極的に受験してみましょう。ただ、未成年の場合は申し込みに保護者の同意が必要です。
初回の受験であれば問題ありませんが、2回目以降の受験では「再受験に関するルール」が適用されます。以下の2点がルールとして求められるため、違反していないことを確認してから申し込みましょう。
・同じ科目を2回目に受験する場合、前回の受験から1日(24時間)待つ必要があります。
・3回目以降の受験は、前回の受験から2日間(48時間)待つ必要があります。
万一ルールに違反した場合は資格認定の取り消しやMicrosoft認定を受ける資格の永久喪失などにつながる可能性もあります。必ずルールを守って受験しましょう。なお、再受験は試験合格後も可能です。
MOS資格を取得するメリット・デメリット
オフィスソフトは世界中でビジネス分野を中心に広く用いられるソフトウェアであり、MOS資格を取得するとさまざまなメリットが期待できます。一方で場合によってはデメリットにつながる可能性もあるため、メリットだけを大きくできるよう工夫してみましょう。MOS資格を取得する主なメリット・デメリットを以下で紹介します。
メリット
MOS資格を取得するとさまざまなメリットが得られます。主なメリットとして以下のものが挙げられます。
・オフィスソフト使用スキルを証明できる
MOS資格を取得していると、オフィスソフトを使いこなせることの証明になります。履歴書に記載すれば就職・転職の際にも有利でしょう。職種によっては特に高い評価を得られます。上級レベルや称号などを取得していればさらなる高評価につながります。
・仕事をスムーズに進められる
MOS資格を取得できるスキルを身につけていれば、普段の仕事でオフィスソフトをより効果的に活用できます。仕事を効率化させられればほかの要素に時間を多く割けるため、プライベートの充実や別の資格取得なども期待できます。
・海外でもスキルをアピールできる
MOS資格は国際資格のため、日本だけでなく世界中で自身のスキルを証明してくれます。オフィスソフト自体も世界中で使われており、海外の職場でも問題なく対応できます。世界規模でのキャリアアップにつながる可能性もあるでしょう。
デメリット
MOS資格を受験する際、場合によってはデメリットがあると感じる可能性もあります。デメリットと感じうる主な点は以下のとおりです。
・高額な受験料が求められる
MOS資格の受験では少なくない金額の受験料が求められます。学割を使わない通常価格の場合は1科目で10,000円以上必要になり、受験科目数が増えればさらに多く必要です。使用頻度が高いWordとExcelの上級レベルを受験する場合、12,980×2で25,960円支払わなくてはなりません。
・スキルが身につかない可能性もある
MOS資格の取得を目指しているうちに取得だけが目的化して、肝心のソフトウェア使用スキルが身につかなくなる可能性もあります。試験に合格するための学習では実践的な学び方ができなくなり、資格取得後も十分にソフトウェアを使いこなせなくなるかもしれません。
MOS資格が役に立つ職種
オフィスソフトは幅広い分野で用いられるため、スキルの活用範囲も広範にわたります。職種によっては大いに役立てられる場合もあるため、現在の職種や希望する職種でのMOS資格の重要性を考えてみましょう。MOS資格が特に役立つ職種の例を以下で紹介します。
事務職
事務職はMOS資格を大いに役立てやすい職種として挙げられます。書類作成や表計算などを扱う業務が多く、Word・Excelなどのオフィスソフトを多く利用します。MOS資格を取得できる程度のスキルを持っていれば効率的に業務を進められるようになり、高い評価を得られるようになるでしょう。就職活動・社内評価ともに役立ってくれます。
「事務職」と呼ばれる職種には多彩な種類があり、それぞれ仕事内容や必要スキルなども異なります。しかし、大半の事務職でオフィスソフトは多用するでしょう。種類を問わず活用できるスキルとして、MOS資格は事務職全般に適しています。
営業職
営業職もオフィスソフトの使用頻度が高く、MOS資格も有用になりやすい職種です。報告書や請求書などをWord・Excelで作ったり、顧客向けの資料をPowerPointで作ったりする機会が少なくありません。特にPowerPointはプレゼンテーションにも使用するため、自社商品の魅力をわかりやすく伝えるために資料作成スキルが重要です。
営業職は人とのコミュニケーションを多く用いる職種ですが、同時にオフィスソフトによる作業も多用します。「人との会話には自信があるから大丈夫」と油断せず、MOS資格によるスキルアップも積極的に検討してみましょう。
士業
税理士・弁護士・社会保険労務士など「士業」と呼ばれる職種もMOS資格が役立ちます。行政機関向けの重要な書類を作成する機会が多く、ミスなく適切な形での書類作成スキルが求められます。オフィスソフトのスキルを磨いて的確にソフトウェアを使えれば、多数の重要書類でも能率的に作成できるでしょう。
士業に就くためには専門の資格が求められるため、士業で働く人は資格取得の勉強をした経験があります。MOS資格は士業の資格と比べれば難易度が低い資格です。「もう少しだけ勉強してみる」という気持ちで、追加でMOS資格の取得も図りましょう。
まとめ
MOS資格の概要や試験の受験方法、資格取得のメリット・デメリットなどについて解説しました。オフィスソフトの使用スキルを測るMOS資格があれば、幅広い職種での効率的な業務進行が可能であるとアピールできます。近い将来の自分に対する投資と考えて、積極的に資格取得へと挑んでみましょう。
MOS資格に限らず、何か資格を取得できると自信をつけられます。ほかの資格や上位資格にも挑戦したくなり、さらなる資格取得と自信につなげられるでしょう。スキルと評価を向上させる良いループに入れるように、まずは比較的受験しやすいMOS資格から挑戦してみてください。