スマホ決済の種類は何がある?メリット・デメリットや選び方なども紹介!

日常生活のさまざまなタイミングで、お金を支払い商品やサービスを受け取る「決済」が行われます。決済の手段として大昔から現金が用いられてきましたが、近年はIT技術の進歩によりスマートフォンでも決済できるようになりました。スマートフォンでの決済は「スマホ決済」と呼ばれており、現金を使わないからこその利点や注意点などが存在します。スマホ決済の種類や扱い方を把握して、便利でお得な日常生活を送りましょう。
この記事ではスマホ決済の概要や種類、メリット・デメリットなどを紹介します。
スマホ決済とは
スマホ決済はスマートフォンを使用する決済方法で、現金を使わず電子マネーで支払うキャッシュレス決済の一つです。多くの人が日常的に使用しているスマートフォンを用いるため、ほかのキャッシュレス決済と比べて手軽に利用できます。現在ではコンビニ・スーパーマーケット・飲食店など非常に多くの店舗で導入されており、時間短縮や荷物の削減など日常生活の快適性に貢献しています。
スマホ決済を含むキャッシュレス決済は、2025年までに利用率を4割程度にすると政府により目標立てられている注目の決済方法です。経済産業省の調査によると、2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%に達していました。大半はクレジットカードによるものですが、近年ではコード決済の利用率も増加しています。キャッシュレス決済のうちクレジットカード決済は83.5%でコード決済は8.6%でした。前年の2022年と比べてクレジットカードは1.0%減少、コード決済は1.5%増加しています。
参照:2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました | 経済産業省
スマホ決済の種類
スマホ決済は大きく3種類に分かれており、支払い方法や利用できるサービスなどが異なります。支払い速度や利用可能店舗などにもかかわってくるため、自分が使いやすい支払方法・サービスを選びましょう。スマホ決済の種類と例を以下で紹介します。
非接触型IC決済
スマートフォンを読み取り用の端末に近づけて反応させる決済方法で、「タッチ決済」や「コンタクトレス決済」などとも呼ばれます。決済時に手や端末などを接触させる必要がなく、決済速度や衛生面などの点で優れています。スマートフォン以外の媒体でも活用されており、特に鉄道駅での改札で用いられる交通系ICカードは非常に広く利用される例です。
非接触型IC決済に用いられている通信規格は日本と海外で異なります。日本では通信速度の速い「FeliCa」が、海外の多くでは安く導入できる「NFC Type A/B」が一般的です。日本で販売されているスマートフォンの多くはFeliCaを使用しています。
スマートフォンで使用できる非接触型IC決済の例として以下のものが挙げられます。
コード決済
バーコードやQRコードを使用する決済方法です。スマートフォンの画面上に表示したバーコードを店員が読み取る場合と、店舗側で設けたQRコードをスマートフォンで読み取る場合があります。スマホ決済の方法として広く用いられており、多くの事業者がコード決済を利用してキャッシュレス決済に参入しています。
コード決済を利用するためには、基本的に各事業者が提供するアプリのインストールが必要です。決済時にアプリを開いてコードの表示や読み取りを行う必要もあり、非接触型IC決済と比べて多少手間と時間がかかる点に注意しましょう。
コード決済の例として以下のものが挙げられます。
キャリア決済
スマートフォンのモバイル回線を提供する通信キャリアを経由する決済方法です。小売店への支払いを一度通信キャリア各社が立て替えて、後日通信料金を受け取る際に立て替えた料金をまとめて請求します。後払いのキャッシュレス決済ながらクレジットカードが必要ありません。そのため「クレジットカードを持っていない」「クレジットカードを外で使いたくない」という場合にも使用可能です。
毎月の携帯通信料金に合算して請求されるため、出費額を一本化できて把握しやすいメリットがあります。各種サブスクリプションサービスの決済方法に適しています。
通信キャリア4社が提供するキャリア決済として以下のものが挙げられます。
Apple Pay・Google Pay・おサイフケータイの違い
スマートフォンを使用した決済方法として「Apple Pay」「Google Pay」「おサイフケータイ」という3種類のサービスが存在します。これらのサービスは各事業者が提供するキャッシュレス決済サービスを一元管理できるもので、直接決済サービスを行っているものではありません。非接触型IC決済のサービスをまとめて管理して、対応サービスを問わずスマートフォンのみで決済できるようにするものです。
各サービスは提供元の企業が異なり、利用可能な端末やサービス内容にも差異があります。それぞれの主な特徴は以下のとおりです。
・Apple Pay
Apple社が提供しているサービスで、iPhoneやApple Watchなど同社の製品で利用できます。
クレジットカード決済が可能ですが、対応している電子マネーの種類は多くありません。多くのWebサービスでオンライン決済が可能です。
・Google Pay
Google社が提供しているサービスで、Android OSを搭載しているおサイフケータイ対応のスマートフォンで利用できます。
クレジットカード決済に加えてポイントカードの管理も可能で、対応電子マネーの種類も豊富です。オンライン決済が可能なWebサービスが少ない点はデメリットです。
・おサイフケータイ
NTTドコモ社が提供しているサービスで、おサイフケータイ対応のスマートフォンやフィーチャーフォンで利用できます。
クレジットカード決済やポイントカード管理ができませんが、非常に多くの電子マネーが対応しています。オンライン決済を行いたい場合は専用の端末が必要になる点にも注意しましょう。
スマホ決済の支払いタイミング
スマホ決済ではお金を支払うタイミングが利用するサービスによって異なり、それぞれメリットや注意点があります。利用したいサービスがどのタイミングで支払うか、希望する支払いタイミングを採用しているサービスはどれかなど調べておきましょう。スマホ決済の支払いタイミング3パターンを以下で解説します。
前払い
あらかじめ決済に使うお金をチャージしておく方式です。実際に支払う際は、チャージされているお金から代金が引き落とされます。交通系ICカードはいずれも前払い方式で、コード決済にも多く採用例がみられます。
基本的にチャージした金額以上の支払いができないため、お金の使い過ぎを防止できます。チャージの手間が煩わしい場合、クレジットカードや銀行口座などと連携させてのオートチャージが可能なサービスもあります。オートチャージを使う際は使い過ぎに注意しましょう。
即時払い
現金払いと同様に商品を購入するタイミングで決済する方式です。デビットカードが代表的な例で、事前に指定した銀行口座から支払額が引き落とされます。前払い方式と同様に支払い可能額の上限がありますが、即時払いの上限額は口座の預金額が該当します。チャージの手間がかからない一方で使い過ぎた場合の影響が大きいため、定期的に口座の残額を確認しましょう。
後払い
決済金額がクレジットカードの支払額に追加されて、後日ほかの支払いと同時に請求される方式です。直接クレジットカードで支払う形式に近く、クレジットカードでの支払いを多く行っていたならば感覚をつかみやすい支払い方式でしょう。クレジットカード以外に、携帯電話の通信料金と合算で支払うキャリア決済も後払いに該当します。
クレジットカードを直接使用する場合と異なり、スマートフォンでの後払いは暗証番号の入力やサインが必要ありません。手間や時間をかけずに決済できるでしょう。
スマホ決済のメリット・デメリット
スマホ決済の利用には複数のメリットとデメリットがあります。メリットをうまく生かしつつ、デメリットの影響を減らせるよう対策をとりましょう。スマホ決済のメリット・デメリットのうち主なものを以下で紹介します。
メリット
スマホ決済にはさまざまなメリットがあります。主なメリットとして以下のものが挙げられます。
・素早く支払いを済ませられる
細かな現金を使わずに支払えるため、手早くスムーズに支払いを行えます。時間がないときに役立つだけでなく、混雑している店内で自分の後ろに並ぶ人を長く待たせずに済む利点もあります。財布を持参せずスマートフォンだけで買い物できる点も便利でしょう。
・ポイント還元やキャンペーンを利用できる
多くのスマホ決済サービスで提供しているポイント還元システムにより、現金で支払うよりも出費を抑えられます。各種キャンペーンを活用すれば、さらに多くのポイント還元を受けられるでしょう。
・個人間で送金できる
スマホ決済サービスによっては、ユーザー同士での送金システムを利用できるものもあります。銀行振込する手間が省けるほか、1円単位での割り勘を簡単に行える点も魅力です。個人間送金はユーザー同士が同じサービスを利用している必要があるため注意しましょう。
デメリット
便利なスマホ決済ですが、メリットだけでなくデメリットも存在します。主なデメリットとして以下のものが挙げられます。
・サービスに対応していない店舗で使えない
スマホ決済サービスには非常に多くの種類があり、店舗によって対応していないサービスも存在します。自分が利用しているサービスに対応していない店舗の場合決済できない恐れもあるため要注意です。複数サービスを併用したり対応店舗を調べたりと対策しましょう。
・スマートフォンの電池が切れていると使えない
スマホ決済サービスの利用にはスマートフォンの電力を消費するため、電池切れの状態では使用できません。特に画面への表示や通信をともなうコード決済では、電池残量だけでなく通信状態や画面の損傷でも使用不能になる可能性があります。
・初期設定の手間がかかる
スマホ決済サービスの利用にはアプリのインストールやクレジットカードの登録など初期設定が必要です。機種変更した際にもアプリを再インストールしたり残額を移行させたりと手間がかかるでしょう。前払い式ならばチャージも求められます。
スマホ決済の選び方
スマホ決済サービスは非常に種類が多く、どれを使うべきか悩む場合も少なくありません。利用開始しても実際に使用しなくては意味がないため、効果的に高頻度で使用できるようなサービスを選びましょう。スマホ決済サービスの主な選び方を以下で解説します。
生活圏内での使いやすさ
最寄りのスーパーマーケットやお気に入りの飲食店など、自分が頻繁に利用する店舗で利用できるスマホ決済サービスを選択しましょう。スマホ決済は店舗ごとに対応しているサービスが異なるため、非対応のサービスを利用している場合はスマホ決済できません。
利用店舗数の多いサービスならば対応している可能性も高まりますが、生活圏によってはほかのサービスを選ぶべきケースもあります。特に自社でスマホ決済サービスを提供している店舗の場合、他事業者によるサービスを利用できないケースが多くみられます。よく利用する店舗で利用可能なスマホ決済サービスを調べておきましょう。
ポイントの溜まりやすさ
スマホ決済時に多くのポイントが溜まるサービスを利用すればお得です。基本的にポイントは支払いで使用できるため、ポイントが多く溜まればポイントを使わない場合より出費を安く抑えられます。
ポイントの溜まりやすさには「還元率の高さ」と「クレジットカードとの紐づけ」が重要です。還元率の高いサービスや、使用しているクレジットカードと紐づけてポイントを二重取りできるサービスなどを積極的に選びましょう。1回の決済ではわずかな差でも、何度も利用していれば大きな差として表れます。
決済方法の使いやすさ
非接触型やコード型など、スマホ決済サービスそれぞれの決済方法も考えましょう。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分にとって使いやすいものを選択する必要があります。使い方・使用頻度・おおよその支払額など、考慮すべき要素は多く存在します。特定のクレジットカードを使いたい場合、スマホ決済サービスの種類によってはクレジットカードの紐づけができない可能性もあるため要注意です。
一つの方法に絞らず複数サービスを使い分ける選択も可能です。場面ごとに適したサービスを利用できれば、日常生活をより便利でお得にできるかもしれません。複数のサービスを併用する場合は、メインサービスとサブサービスとで異なる決済方法の採用がおすすめです。
スマホ決済利用時の注意点
日常生活の利便性を高めるスマホ決済ですが、利用する際には注意すべきポイントもあります。「現金とは異なる形でお金を使っている」と意識して、安全対策や子供への教育などを取り入れましょう。スマホ決済利用時の注意点を以下で紹介します。
セキュリティ対策をする
スマホ決済を安全に利用できるように、普段からセキュリティ対策を心がけましょう。スマートフォンにロックをかけたりパスワードを複雑な文字列に設定したりと、さまざまな形でリスクを抑えられます。サービスアプリ側でセキュリティ設定が可能であれば、そちらの設定も行っておくとより万全です。指紋認証を使用できれば決済までの時間もあまり増えません。
定期的な利用履歴の確認も重要です。いつの間にか不正利用されていた場合、履歴を確認すれば被害を最小限に抑えられます。覚えのない利用履歴があった場合はすぐサービス事業者に連絡しましょう。
画面を保護する
特にコード決済のサービスを利用する場合、スマートフォンの画面が破損しないよう注意しましょう。コード決済は画面上に表示されるコードを読み取って決済するため、画面が傷ついているとコードを正確に読み取れなくなる恐れがあります。QRコードは部分的な汚れ・破損があってもデータを復元できる「誤り訂正機能」を持っています。しかし、損傷が大きかったり損傷場所が悪かったりするとうまく読み取れなくなるかもしれません。
参照:誤り訂正機能について | QRコードドットコム
スマートフォンの画面破損は時間とともに悪化する可能性もあります。画面が破損していると衝撃に弱くなるため、普段ならば問題ない程度の衝撃でも画面がダメージを受けて大きな破損を招くかもしれません。「このくらいの傷なら大丈夫」と油断せず、傷がつかないよう最初から対策をとっておきましょう。
子供とルールを決める
子供にスマホ決済を利用させる場合、あらかじめ利用時のルールを親子間で決めておきましょう。キャッシュレス決済は大人でも「お金を使っている」という感覚を抱きづらいため、使い過ぎて問題が起きるケースも少なくありません。子供は大人以上に使い過ぎる可能性が高く、多額の支払いを求められてトラブルにつながる可能性もあります。支払額だけでなく、スマートフォンを紛失する危険も大人より高く見積もらなくてはなりません。
親子間でのルールとして、スマホ決済の使用可能範囲を限定すると効果的です。親が見ている前でのみ使えるようにすれば、使い過ぎを防止できるだけでなく適切な使い方の指導も行えます。子供に金銭感覚を身につけさせるために、お小遣いを現金・電子マネーに分けて渡す手段も有効です。
まとめ
スマホ決済の概要や種類、メリット・デメリットなどを紹介しました。多くの人が日常的に使用しているスマートフォンで支払いができるスマホ決済は、うまく使えれば非常に便利でお得なサービスです。種類・特徴・利用時の注意点などを把握して、より効果的な形で活用しましょう。
国の方針もあり、スマホ決済のようなキャッシュレス決済の利用機会は今後さらに増加するとみられます。現金との使いどころを見極めて、可能な範囲で積極的に活用していくと時流に乗ったお得な生活ができるでしょう。