データ保存に必要なストレージとは?種類や容量不足の解決策など紹介!
コンピューターとインターネットが広く用いられている現代では、パソコンやスマートフォンなどを使いデータの保存・利用も一般的に行われます。コンピューターが使用するデータは多種多様ですが、いずれのデータも「ストレージ」というパーツに保存されます。ストレージの種類や状態によって端末の使い心地が大きく左右されるため、ストレージの管理を積極的に行いましょう。この記事ではパソコンやスマートフォンに用いられるストレージについて、種類や容量不足の影響・解決策を紹介します。
パソコンやスマートフォンのストレージとは
パソコンやスマートフォンにおいて、ストレージとはデータの保存場所を指します。「ストレージ(storage)」は「保管」や「倉庫」などの意味があり、ストレージ以外に「記憶装置」や「記憶領域」などと呼ばれる場合もあります。文書・画像・アプリなど非常に多くのデータを保存して、必要に応じて使用できるようにしています。
ストレージはパソコンやスマートフォンを使用するために不可欠なもので、一般的には端末内にあらかじめ内蔵されています。さらにさまざまな方法でストレージの追加も可能なため、非常に多くのデータを保存・活用するために役立っています。
ストレージの種類
データを保存・利用するストレージにはさまざまな種類が存在します。一般的にパソコンで使用されている「SSD」や「HDD」以外にも幅広いタイプのストレージがあるため、知識上の選択肢を増やしておきましょう。主なストレージの種類を紹介します。
SSD
半導体メモリを使用するストレージで、「Solid State Drive」の略称です。メモリ上にデータを記録して、物理的な稼働を挟まずにデータを利用します。
稼働部位がないため静かに使えて、衝撃による故障もあまり起こりません。処理速度の速さも大きなメリットで、主にOSやシステムファイルなど頻繁に使用するデータの保存に用いられます。半面、比較的価格が高いデメリットもあります。故障自体は少ないものの、万一故障してデータが消えると復旧できない点もデメリットに挙げられます。2024年現在では一般的に販売されているパソコンの多くがSSDを搭載しています。
SSDは「PCI Express」や「SATA」など複数の規格が設けられており、それぞれデータの転送速度が異なります。パソコンの構成によって使用できるSSD規格も異なるため、SSDを変更・増設したい場合は規格も確認しましょう。
HDD
磁気ディスクを使用するストレージで、「Hard Disk Drive」の略称です。「ハードディスク」と呼ばれる場合もあります。磁気ディスクを高速回転させて、磁気ヘッドでデータを記録したり読み込んだりします。
SSDと比べて安価で、一般的に記録容量が多く設けられています。非常に多くのデータを記録する際に有用です。処理速度の遅さや動作音の大きさなどのデメリットもあるため、画像や文書など軽めで頻繁に使用しないデータの保存に適しています。稼働部位がある関係上、比較的故障しやすい点には注意しましょう。2024年現在では後付けの追加ストレージやテレビ番組の録画機器などに多く用いられます。
物理ディスクを使用するHDDは、パソコンにあわせて使用されるディスクの大きさが異なります。一般的にデスクトップパソコンで3.5インチサイズ、ノートパソコンで2.5インチサイズが用いられます。特に2.5インチ用のスペースしかない場合は3.5インチのHDDを使用できないため注意しましょう。
USBメモリ
半導体メモリを使用するストレージで、USB端子に接続して使用するため「USBメモリ」と呼ばれます。USB端子経由でパソコンの電力を使い動作して、データの記録や転送などを行います。
SSDと同じく半導体メモリにデータを記録するストレージですが、USBメモリは複数端末での併用を考慮されています。容易に付け外しして持ち運び、多くの端末でデータをやり取りできます。手軽に使用できる一方で、詳細な設定を行えないデメリットもあるため注意が必要です。一般的に容量があまり多くない点にも注意しましょう。データを長期保存するストレージではなく、一時的に保存して持ち運ぶために用いられるストレージです。
USBメモリはさまざまなデザインのものが販売されており、使いやすさや見た目の好みなどにあわせて幅広く選択可能です。スマートフォンと接続できるコネクターがついているものも販売されています。自分が気に入るUSBメモリを探してみましょう。
光ディスク
レーザー光とディスクを使用するストレージで、CD・DVD・ブルーレイディスクなどが対象です。ディスクへのレーザー光照射でデータを記録して、弱いレーザー光の照射で記録したデータを再生します。データの記録を一度しか行えないタイプや何度でも書き換えられるタイプなどが販売されています。現代ではあまり使用されなくなっているストレージですが、昔は音楽や映画などさまざまなデータの保存・利用に用いられました。
光ディスクはデータを安価に長期間保存できるストレージです。1枚あたりのコストが安く、数を増やしてさまざまなデータを保存できます。薄い円盤型のため取り回しもよく、水や衝撃などに強い利点もあります。一方で1枚あたりの容量はあまり多くないため、大容量データの保存に適さない点がデメリットです。記録面に傷がつくとデータを読み取れなくなる可能性がある点にも注意しましょう。
NAS
磁気ディスクを使用するストレージで、「Network Attached Storage」の略称です。HDDにネットワーク接続機能をつけたもので、複数の端末で同時に使用できます。NASをネットワークにつないで、有線・無線で各端末からストレージ内にアクセスします。
ネットワーク上からデータの保存・利用ができるため、自宅・外出先を問わずデータを活用できます。「スマートフォンから撮影した写真を自宅のパソコンで加工する」「自宅のパソコンで作成した資料を出先のタブレットで表示する」など利用可能です。高価で設定が難しいデメリットもありますが、導入できれば幅広く活用できるでしょう。
NASを導入する場合、必要な容量だけでなく「RAID」も考慮して選びましょう。複数のHDDを1つのHDDとして扱う技術で、RAIDの種類によって故障によるデータ喪失を防ぎやすくなります。個人で利用する程度ならば、複数のHDDに同じデータを記録する「RAID1」を使用可能なNASであれば安心です。
ストレージの設置形態
ストレージは端末に内蔵するだけでなく、複数の形で設置できます。設置形態によって使い勝手が異なるため、使用場面やデータなどに応じて使い分けましょう。ストレージの主な設置形態を以下で詳しく解説します。
内部
ストレージが端末に内蔵されている形態です。一般的にOSも内蔵ストレージにインストールされています。スマートフォンではSSDに近いフラッシュメモリが使用されて、パソコンの場合はSSDやHDDが用いられます。
基本的に内部ストレージの交換や増設はできないため、端末の購入時点で必要な容量やストレージの種類をしっかり検討する必要があります。デスクトップのパソコンであれば交換可能ですが、パソコンやストレージなどに関する知識が必要です。トラブルを防ぐためには、十分な知識を持つ人と一緒に交換したり専門業者に依頼したりする方が安全でしょう。
外部
端末に別途購入したストレージを外付けする形態です。パソコンではUSB接続するタイプが多い一方、スマートフォンの場合はSDカードが用いられます。USB端子に直接接続するだけでなく、ストレージを使用するための端末を経由する場合もあります。
内部ストレージと比べて容易に交換・増設できるうえ、種類によっては付け外しして複数端末での併用が可能です。スマートフォンを機種変更した際に、必要なデータをSDカード経由で移動させる方法も多く用いられてきました。保存したデータの共有にも利用できますが、ストレージを持ち運ぶ際は盗難や紛失に注意しましょう。
オンライン
インターネット上で提供されているストレージを利用する形態です。「クラウドストレージ」とも呼ばれるもので、「Googleドライブ」「iCloud」「OneDrive」などさまざまなサービスが提供されています。データは端末内でなくストレージの提供者が用意しているサーバーに保存されて、インターネットからサーバーに接続してデータを利用できます。
自分でストレージを用意せずとも多くのデータを保存できるため、非常に手軽に利用できます。無料で利用できるサービスに加えて、月額でデータ容量を増やせる有料プランが設けられている場合も多くみられます。データのバックアップにも活用できますが、インターネットに接続できない環境では利用できない点に要注意です。
ストレージの容量不足で起こる問題
ストレージにはさまざまなデータを保存できるため、つい保存しすぎて容量の不足を招く場合もあります。ストレージの容量が不足すると新規のデータ保存ができなくなり、ほかにもさまざまな悪影響が発生するため注意しましょう。ストレージの容量不足で起こる主な問題を以下で紹介します。
データを保存できなくなる
ストレージの容量が不足すると、新しくデータの保存ができなくなります。ストレージの容量不足とは「倉庫がいっぱいになっている」という状態のため、新しくデータを倉庫に入れようとしてもスペースが足りません。データの削除や他ストレージへの移動などが求められますが、ストレージの整理にはある程度時間がかかります。「急遽必要なアプリをインストールしたいが容量不足で保存できない」という状態にならないように、普段からストレージの容量には余裕をもたせておきましょう。
端末の動作が遅くなる
ストレージ容量の不足が端末の動作速度に悪影響を及ぼす場合もあります。特にSSDを使用している場合、構造上データ保存に必要な工程が増えやすくなり動作速度の低下につながります。工程の増加はSSD自体の寿命を縮める影響もあるため、ストレージの故障やデータの破損を招くおそれもあります。
パソコンの場合、動作速度の低下は「Cドライブ」の容量不足で多く発生します。CドライブはOSがインストールされており、パソコンのさまざまな動作にかかわるドライブです。Cドライブの容量不足によりOSの処理速度が遅くなると、パソコンの操作全般も遅くなるため注意しましょう。
アプリのアップデートができなくなる
ストレージの容量不足により、すでにインストールしているアプリをアップデートできなくなる可能性もあります。アプリがアップデートされると、場合によって機能追加により必要な容量が増加します。アップデート前より多くの容量が求められるため、ストレージ内で新しく必要な容量を確保できずにアップデートできなくなるという問題です。
「容量不足によりアップデートできない」という問題はOSで多く発生します。OSのアップデートは機能追加だけでなくセキュリティ強化なども多く行われます。古いOSを使い続けると、端末のセキュリティが脆弱になりトラブルにつながるかもしれません。
ストレージ容量が不足した際の解決策
ストレージの容量が不足した場合、解決策としてさまざまな手段が挙げられます。データの削除やストレージの増設以外にも手段を考えて、よりお得で効果的な手段を実行しましょう。この章ではストレージ容量が不足した際の解決策を紹介します。
キャッシュを削除する
ストレージ容量が不足した場合、最初に「キャッシュ」と呼ばれるデータの削除を試してみましょう。キャッシュとはブラウザやソーシャルメディアなどのアプリで多く作成される一時データのことです。閲覧履歴や表示画像などを一時的に保存して、次回以降の表示をスムーズにしてくれます。
キャッシュ自体は便利な仕組みですが、多くのアプリを使用してキャッシュが溜まりすぎるとストレージ容量を圧迫します。各アプリや端末の設定などからキャッシュを削除して、ストレージ容量に余裕をもたせましょう。アプリの再インストールでもキャッシュを削除できます。キャッシュ削除の方法がわからずデータが消えても問題ない、というアプリであれば検討してみましょう。
不要なデータを削除する
ストレージ容量の不足を解決する基本的な方法として、保存されているデータのうち不要なものを削除しましょう。使用する可能性が低い各種のデータを削除すれば、削除したデータの分だけストレージ容量を空けられます。インストールして以降ほぼ起動していないアプリでも、残っている限り容量を圧迫し続けます。容量不足を良い機会として、ストレージを整理しましょう。
電子書籍アプリ・動画配信アプリ・ゲームなどの場合、データを別途ダウンロードして保存している場合もあります。データを整理する際はアプリ内でダウンロードしたものも確認しましょう。
データをほかのストレージに移す
削除したくないデータだけでストレージ容量が圧迫される場合、データをほかの端末やストレージなどに移す方法も検討しましょう。スマートフォンの写真や動画をパソコンのHDDに移したりパソコン内でCドライブからDドライブに移したりなど、データを分散させて容量節約できます。
データの移動先としてオンラインストレージも有力な候補です。自分で端末や追加ストレージを用意する必要がなく、インターネットが使えればどこでも利用可能なため利便性にも優れています。端末故障時のバックアップにもなるため、積極的に検討してみましょう。
ストレージ容量を増やす
データを整理してもストレージ容量が不足する場合、各種のストレージを追加購入して増設しましょう。外付けのストレージであれば気軽に増設できます。パソコンはSSDやHDDなどが、スマートフォンならばSDカードが使用可能です。スマートフォンの場合、機種によってはSDカードを使用できない場合もあるため注意しましょう。
パソコンのストレージを増設する場合、デスクトップ型であれば外付けでなく内蔵させる手段もあります。専門の知識を求められるためハードルが高いものの、場所をとらず比較的安価に容量の大幅な増加が見込めるでしょう。
まとめ
パソコンやスマートフォンに用いられるストレージについて、種類や容量不足の影響・解決策を紹介しました。各種データの保存に必要なストレージはパソコンやスマートフォンにとって不可欠です。使用する端末や保存したいデータに応じて適切なストレージを選択・利用しましょう。容量不足への積極的な対策も重要です。
ストレージはデータの利用やパソコン自体の動作などにかかわります。そのため、適切なストレージに余裕をもたせて使用すれば端末そのものを快適に使用できます。まずは自分が使用しているストレージと空き容量を確認してみてください。