Unicodeとはどのようなもの?世界中をつなぐ文字コードについて解説!

公開日:2025/06/13
Unicodeとはどのようなもの?世界中をつなぐ文字コードについて解説!

誰もがコンピュータやインターネットを使っている現代では、コンピュータ上で非常に多くの文字が入力・表示されています。表示される文字の種類も幅広く、コンピュータは多種多様な文字を正確にわかりやすく表示しなくてはなりません。
世界中の文字をコンピュータ上で扱う手段として「Unicode」が用いられています。すべての文字に番号を割り振って、人間の指示に応じた文字を正しく表示してくれます。この記事ではコンピュータで文字を扱うために欠かせないUnicodeについて解説します。

Unicodeとは

Unicodeはコンピュータ上で用いられる文字コードの1つで、世界中の文字や記号に番号を割り振って統一的な使用を可能にするものです。
コンピュータはアルファベットや漢字など人間が使う文字を認識できません。そのため、各文字を0と1の数字に置き換えてコンピュータでも理解できるようにします。Unicodeの制定以前は、英語の「ASCII」や日本語の「Shift JIS」など言語ごとに異なる文字コードが用いられていました。異なる文字コード同士では互換性がないため、どの言語でも問題なく使える世界標準の文字コードとしてUnicodeが作られました。
Unicodeにおいて各文字に割り振られている番号を「コードポイント」と呼び、「U+〇〇〇〇」から「U+10〇〇〇〇」までの形で表されます。〇には0からFまでの16進数を用いた数字が入ります。「A」ならば「U+0041」で、「あ」ならば「U+3042」が割り振られています。「Unicode」の7文字をそれぞれUnicodeで表すと以下のとおりです。

  • U:U+0055
  • n:U+006E
  • i:U+0069
  • c:U+0063
  • o:U+006F
  • d:U+0064
  • e:U+0065

Windowsのパソコンを使っている場合、IMEパッドの「文字一覧」から各文字と対応Unicodeの確認が可能です。入力する際は全角入力で対応する数字を入力してF5を押すと変換できます。

UnicodeとUTF-8の違い

Unicodeを使用していると「UTF-8」という言葉を多く見かけます。UTF-8はUnicodeに従って変換された文字をコンピュータが理解できる形へとさらに変換する「符号化方式」の一つです。
Unicodeでは文字をコードポイントに変換しますが、コンピュータはコードポイントの状態でも内容を認識できません。コードポイントをもう一度変換して、コンピュータでも認識できる形にする必要があります。UTF-8は文字によって変換後の長さが異なり、特に英語で多用する文字は短くまとめられています。そのためUTF-8による変換は符号化方式のなかでも効率的です。世界中で多くのソフトウェアがUTF-8を使用しており、Unicodeと併用される一般的な符号化方式となっています。
UTF-8は世界中のさまざまな言語を同時に扱える方式のため、主要な検索エンジンはUTF-8を使用しているWebサイトを高く評価する傾向があります。Webサイトを制作したい場合、基本的にはUnicodeと並んでUTF-8も採用しましょう。

Unicodeの利用によるメリット

Unicodeは世界中の文字を同時に扱える文字コードであり、利用すればさまざまなメリットを享受できます。意思疎通・情報伝達・コミュニケーション手段の増加などが期待できるため、さらに多くの恩恵へとつなげられるでしょう。Unicodeの利用により得られる主なメリットを以下で詳しく解説します。

世界中の文字を容易に使用できる

Unicodeによって、世界中の文字をコンピュータ上で手軽に扱えるようになりました。「普段使わない言語だが特定の文字を使用したい」という場合、Unicodeを利用すれば大きな手間をかけずに入力・表示できます。文字を検索する際も複数コードの参照が不要になるため、効率よく素早い検索が可能です。
Unicodeは毎年のように文字の追加・更新が行われているため、将来的には今以上に多くの文字を利用しやすくなると考えられます。さまざまな文字を使い、世界中の人と幅広いコミュニケーションをとれるでしょう。

多言語対応させやすくなる

Unicodeを利用すると1つの文字コードで世界中の文字を使えるため、コンテンツ内の文章を容易に多言語化させられます。言語ごとに開発された従来の文字コードを使う場合、利用する文字コードを変えつつ各言語バージョンを別途作る必要がありました。Unicodeであれば文字コードを変える手間が省けるほか、同時に複数言語の文字を併用する手法も使用できます。コンテンツ開発の手間を減らして自由度を増やせる効果的な方法として、Unicodeが世界中の開発現場で活躍しています。

文字化けを防げる

Unicodeは世界中の言語で使用できる文字コードのため、文字コードの違いにともなう文字化けの発生を防げます。文字化けは本来想定していない文字が表示される現象で、主に文字コードの違いによりコンピュータが文字番号を誤解して発生します。多くみられるケースとしてUTF-8で変換された文章をShift JISで再変換した場合に起こるものが挙げられます。以下のようにかなや漢字などが本来と異なる文字で表示されるものです。

UTF-8:UTF-8からShift JISにするとこのように文字化けを起こします。
Shift JIS:UTF-8縺九iShift JIS縺ォ縺吶k縺ィ縺薙?繧医≧縺ォ譁?ュ怜喧縺代r襍キ縺薙@縺セ縺吶?

Unicodeを使用していれば文字コードを複数切り替える必要がなくなり、変換時の文字化け発生も防止できます。文章が文字化けを起こすと内容を正確に伝えられなくなるため、文字化けの防止が欠かせません。

参照:文字化けテスター

Unicodeの課題点

Unicodeは世界中の文字を扱える便利なものですが、場合によっては対応範囲の広さが問題につながる可能性もあります。不便を強いられるだけでなくセキュリティ上のトラブルも起こりうるため、ファイルやWebサイトなどを開く際は注意しましょう。Unicodeの課題点を以下で解説します。

文字を判別しづらい場合がある

Unicodeにより世界中の文字を使えるようになった結果、他言語同士の似ている文字を見分ける必要性が増加しました。Unicodeでは英語のZ(ゼット)とギリシャ語のΖ(ゼータ)のような見分けづらい文字が同じ文字コードに多数入っています。そのため、似た文字の読み違いにより検索できなくなる可能性が上がります。
日本語や中国語など漢字を使う言語では特に顕著です。漢字は非常に種類が多いため、言語によって微妙に異なる字形の漢字を同じコードにまとめているケースが少なくありません。言語ごとの違いはフォントごとに対応しており、中国語用のフォントでは日本語と異なる形の漢字が表示されます。別の字と誤読されないように、使用するフォントへの注意も求められます。

セキュリティ面のリスクが生じる

Unicodeの幅広い対応範囲が原因で、セキュリティ面にリスクが生じる場合もあります。Unicodeは世界中の文字・言語に対応できるため、似ている文字や右から左への書き方なども容易に使用できます。「有名なWebサービスのURLを一部似ている文字に置き換えて詐欺サイトを作る」「悪意ある文言を後ろから入力して逆向きに表示させる」など、Unicodeの利便性を悪用されたケースも存在します。
セキュリティ対策はUnicodeの運営団体「Unicode Consortium」も対応を続けており、特に似ている文字に関しては一覧ページを公開して誰でも確認できるようにしています。コンピュータやインターネットを安全に使えるように、可能な限りURLやファイル名などをしっかりと確認しましょう。

参照:confusablesSummary.txt | Unicode公式サイト

Unicodeに登録されている特徴的な文字

Unicodeには世界中から多種多様な文字が登録されており、なかには珍しい文字や特徴的な文字も含まれます。現代では使われていない文字・現代になってから生まれた文字・本来存在しないはずの文字など、多くのユニークな文字について知ってみましょう。Unicodeに登録されている特徴的な文字の一部を以下で紹介します。

古代言語の文字

Unicodeには現代使われている文字だけでなく、古代の言語に使用されていた文字も多数登録されています。学術目的だけでなく絵文字のように使われる場合もあるでしょう。Unicodeに登録されている古代文字の例として以下のものが挙げられます。

・フェニキア文字
古代地中海東部で使われていた文字で、現代のアルファベットのもとになったとされています。現代のアラビア語やヘブライ語のように子音のみ表記する特徴がありました。

・ヒエログリフ
古代エジプトで使われていた文字で、神聖な碑文で用いられていました。読む方向が都度変わる特徴をもち、行ごとに向きが変わる場合も珍しくありません。

・楔形文字
古代メソポタミアで使われていた文字で、エジプトやペルシャなどでも用いられていました。火に強い粘土板に記録されていたため、遺跡から多くの資料が発掘されています。

各種の古代文字はUnicodeに登録されていますが、実際に使用する場合は対応しているフォントのインストールが求められます。現代語からの変換であればWeb上で行えるツールも公開されているため試してみましょう。

参照:ABC・フェニキア文字作成・変換 | JPN LAB
   ABC・ヒエログリフ(神聖文字)変換 | JPN LAB
   かな・古代ペルシャ楔形文字変換 | JPN LAB

絵文字

人の顔や各種の絵を表示する絵文字も、Unicodeに多数登録されている特徴的な文字です。
1998年に携帯電話の画面上で使用する文字データとしてNTTドコモ社が開発して、翌1999年から運用が始まりました。当時の携帯電話は画面が小さく、メールで送信できる文字数も少量でした。絵文字は文字数を減らしつつ内容をわかりやすく伝えられるため、日本国内で急速に広まっていきました。Google社とApple社がスマートフォンを販売すべく日本の携帯電話市場に参入してくると、日本のメールで多用されていた絵文字をUnicodeに登録申請しました。2010年に絵文字がUnicodeに登録されて、世界中のスマートフォンで絵文字を使用できるようになりました。
現在では世界中で絵文字が多用されており、毎年のように新しい絵文字が追加されています。世界各地の文化を反映したものも増えており、デジタル分野でのコミュニケーションにおいて欠かせない存在になりました。

参照:絵文字(emoji)はどのように生まれ、世界に広がったのか? | 政府広報オンライン
   絵文字はどのように生まれ、世界に広がっていったのか? | J-Stage

幽霊文字

Unicodeに登録されている多数の漢字のなかには、出典元不明の「幽霊文字」と呼ばれる字が複数存在します。どの資料にも記載されていない架空の漢字ながら、Unicodeに登録されているためコンピュータ上で入力・表示が可能です。もともとは日本独自の文字コードに登録されていた文字データで、Unicodeにそのまま導入されて生まれました。
基本的には一部地域の地名で用いられているものや、登録時に別の漢字を誤記したものなどとされます。昔の荒い印刷紙から探すケースも多かったため、漢字の形を正しく読み取れずに誤記が発生していました。誤記とわかっている字も修正するとUnicode自体の変更が必要になるため、現在まで修正されていません。

まとめ

コンピュータで文字を扱うために欠かせないUnicodeについて解説しました。世界中の文字を一度に入力・表示できるUnicodeは、誰もがコンピュータやインターネットを利用している現代社会を力強く支えています。言語の壁を超える情報共有やコンテンツ制作を行いやすくなるため、世界的な文化・技術のさらなる発展につながるでしょう。
Unicodeは任意の文字を直接入力する目的でも使えるため、「使用頻度は高いが変換しづらい」文字を入力する場合にも有用です。辞書登録する以外の方法として、頻繁に使う字のUnicodeを覚えておくと役に立つかもしれません。