就労継続支援事業所では何ができる?利用者が行える作業の内容を紹介!

公開日:2024/01/26
就労継続支援事業所では何ができる?利用者が行える作業の内容を紹介!

現代は障害者が生活するための福祉サービスが多く設けられており、適宜各サービスを利用して障害によるハンディキャップを補えます。収入源となる仕事を得る方法として「就労継続支援事業所」の利用が挙げられます。全国に設けられている事業所ごとに、バラエティ豊かな作業を行って収入につなげられます。
この記事では就労継続支援事業所で行える主な作業の内容を中心に紹介します。

就労継続支援事業所とは

就労継続支援事業所は主に障害者を対象とした福祉サービスです。障害や病気などが原因で一般企業での就労が難しい人に対して、就労や生産活動の機会を提供します。就労継続支援事業所を利用すると、利用者は収入を得ながら生活リズムを整えたり就労スキルを磨いたりできます。就労継続支援事業所で慣れてから一般企業への就労を目指す、というケースも珍しくはありません。その他、就労移行支援事業所に移る選択も可能です。
就労継続支援事業所はA型とB型に分かれており、それぞれ利用者に対する待遇が異なります。A型事業所は利用者と雇用契約を結ぶため、最低賃金以上の給与額が保証されます。待遇が高い分求められるスキル水準も高く、B型事業所での作業より高い生産性が求められます。B型事業所は雇用契約を結ばないため、多くの収入を得られない代わりに作業時間の融通を利かせられます。

就労継続支援事業所についてはこちらの記事も参考にしてください。

就労継続支援事業所で行う作業

就労継続支援事業所は全国で多数運営されており、それぞれでバリエーション豊富な作業が行われています。同じ事業所で複数種類の作業を行っているケースも多く、利用者の好みや特性にあわせて幅広い選択が可能です。
就労継続支援事業所で行える作業の例を以下で紹介します。

梱包

書類・郵便物・食品など、さまざまなものを梱包して発送できるようにします。 企業から受託した商品を扱うだけでなく、事業所内で作った製品を梱包する場合もあります。梱包作業に加えて、梱包前の商品を検品・仕分けしたり梱包後の商品を発送したりする場合も少なくありません。
ある程度決められた作業を1人で黙々と行う梱包は、特にASD(自閉症スペクトラム障害)の方や統合失調症の方などが適しています。あまり人と会話する必要がないため、対人恐怖症の方にも取り組みやすい作業内容でしょう。

ポスティング

地域にある物件の郵便受けにチラシを投函する作業です。企業から預かったチラシや事業所で作成したチラシなどを多数持って事業所から外出して、担当地域の一軒家や集合住宅などを回ります。1回でおおよそ数百枚のチラシを投函して、すべて配り終え次第事業所に戻ります。
野外で歩き回りながら行う作業のため、働きながら体力もつけられます。外を歩いて日光を浴びれば気分転換になり、精神面が不安定になりやすい方でも健康的に生活できます。近隣の住民と交流する機会があれば、コミュニケーション能力やマナーなどの習得も期待できるでしょう。

清掃

公共施設や企業のオフィスなどに入って清掃します。依頼を受けた企業や自治体などの施設に向かい、部屋や廊下などをきれいにする作業です。屋内だけでなく、事業所によっては公園のような屋外を清掃するケースもあります。床の拭き掃除・ワックスがけや壁・窓の汚れ落とし、手すりや消火栓の拭き掃除など幅広く清掃します。公園では落ち葉の除去や草むしりなどを行います。
身の回りをきれいにする作業のため、達成感を感じられると同時に自宅を掃除するスキルも磨けます。利用者同士で協力しながら清掃して、コミュニケーション能力やチームワークも身につけられるでしょう。

洗濯

シーツ・タオル・制服など、さまざまな洗濯物をきれいに洗う作業です。¬企業・病院・個人などから依頼を受けて、洗濯物の受け取り・洗濯・乾燥・返却と幅広く代行します。洗濯物の種類は多岐にわたるため、事業所ごとに受け入れている洗濯物の種類が異なります。
洗濯は洗濯物ごとに洗い方やたたみ方の注意が必要です。また、返却先を間違えないように正確な仕分けも欠かせません。そのため、細かい点に気づきやすい方や手順を正確に守れる方が適している作業です。

調理

飲食店や食品工場などで調理を行います。基本的には事業所が運営しているカフェやパン屋などで働き、店内で提供されている料理を作ったりお客様に提供したりする作業です。既存メニューの料理を作るだけでなく、新メニューの開発を行うケースもあります。食品工場で働く場合、受託先の飲食店で使用する食材の下ごしらえを行います。
お客様の口に入るものを作る作業のため、衛生管理や調理工程の確認などが欠かせません。決められたルールを守って仲間と協力し合える人が適しているでしょう。接客業務ではお客様のペースに合わせて行動する必要があります。コミュニケーション能力や社会的な感覚を養えます。

グッズ製作

事業所内でさまざまなグッズを製作して販売する作業です。絵画・アクセサリー・木工品などグッズの種類は幅広く、事業所ごとにバラエティ豊かなグッズ展開が行われています。グッズの販売は事業所内だけでなく、事業所製作グッズの販売を専門に行う店舗でも行われています。インターネット上での通信販売を行っているケースもあるため、事業所がある地域以外の人にも自作のグッズを知ってもらえるかもしれません。
グッズ製作には独自のセンスが必要です。障害を持っているからこそのセンスや発想を生かして、誰も見たことがない斬新なグッズを生み出してみましょう。

農作業

農場や屋内の植物工場などで農産物を育てます。育てる作物は野菜が多く、種まきから収穫まで幅広い農作業を手がけます。植物工場での農作業も行われているため、農地が少ない都市部の事業所でも就労可能です。屋外農場を利用している場合、農閑期にあたる冬場は別の作業を行っている場合もあります。
少子高齢化が進む現代では農業従事者の減少が深刻になっており、就労継続支援事業所を利用する障害者の就農も重要視されています。農業と福祉の両分野が抱える課題を同時に解決できる「農福連携」は、国や自治体によって積極的に推進される取り組みです。

事務作業

書類作成や伝票整理など各種の事務作業を行います。書類作成の際にはパソコンで文書作成ソフトを多く使用して、請求書・見積書・イベント案内などを作ります。作成後の書類をファイリングしたりシュレッダー処分したりする管理業務も必要です。
基本的に事務作業は定型的な内容の業務が多く、イレギュラーな事態もあまり発生しません。そのため、自分のペースで落ち着いて作業を進められるでしょう。パソコンが好きな方や立ち仕事が苦手な方であれば特に適している作業です。

データ入力

パソコンを使用してさまざまなデータの入力を行う作業です。多数の伝票・アンケート・原稿などを見て、1枚ずつ電子データとして入力していきます。表計算ソフトや専用の入力ソフトなど、事業所や受託元によってさまざまな入力環境が存在します。パソコンを使う作業ですが、基本的に複雑なスキルや知識は求められません。
データ入力はある程度手順が決まっており、1人で黙々と進められる作業です。人と協力しつつ柔軟に行動する必要があまりないため、ASD(自閉症スペクトラム障害)の方や対人恐怖症の方などに適しているでしょう。

ソーシャルメディア運用

企業や自治体などのソーシャルメディア運用を代行します。各種の投稿をするだけでなく、デザインの作成やコメント返信なども必要です。投稿した内容に対する反応やアクセス数などを解析して、より効果的に運用すべく状況の改善も図ります。
現代のソーシャルメディアは多くがスマートフォンで投稿・閲覧されており、パソコンよりもスマートフォンの使用スキルが求められます。コメントやダイレクトメールなどを用いてお客様と交流するため、コミュニケーション能力や改善点を把握する能力も必要です。

その他パソコン作業

事務作業やデータ入力など以外にも、パソコンを使用する作業は複数あります。主に以下のものが挙げられます。

・Web制作
マークアップ言語やプログラミング言語などを用いて、さまざまなWebサイトの制作を行います。Webサイトのデザインも行います。あまり高いスペックのパソコンが求められず需要も高いため、多くの事業所が実施している作業です。

・コンテンツ制作
3Dモデルや動画、アプリケーションなどのコンテンツを作ります。一般的に高いスペックを要求するソフトウェアが必要なため、設備・環境を充実させている事業所が多くみられます。多くの事業所ではソフトウェアの使用方法から学習可能です。

・Webライティング
文書作成ソフトを使用してコラム・ブログ・インタビュー記事などを執筆します。パソコンのスペックや専門のスキルなどが求められないため、事業所・利用者ともに手がけやすい作業です。文章力を磨けばメールやチャットなどのコミュニケーションにも役立つでしょう。

まとめ

就労継続支援事業所で行われている主な作業の内容を中心に紹介しました。全国の事業所で非常に多彩な作業を行っているため、利用者ごとに最適なものを選択できます。自分に合った事業所・作業で収入を得つつスキルアップを図りましょう。
事業所でのスキルアップや生活リズムの安定化は、将来的に一般企業への就職にもつなげられます。障害を抱えつつキャリアを積む有力な手段として、就労継続支援事業所の利用も積極的に考慮してみてください。

なお、就労継続支援事業所についてはこちらの記事一覧も参考にしてください。