北海道にはどのような温泉がある?主な温泉地や楽しみ方など紹介!

広大な土地を持つ北海道には、多くの観光資源も存在します。現代では北海道への観光客が世界中から訪れるようになりました。
観光の拠点となり、自身も観光資源を担う存在として「温泉」があります。道内各地に多く湧いている温泉は、北海道での生活や旅行を充実したものにしてくれるでしょう。多種多様な温泉の種類や楽しみ方を把握して、たっぷりと温泉を楽しんでみてください。この記事では北海道の温泉について、主な温泉地や温泉旅行の楽しみ方などを紹介します。
北海道に温泉が多い理由
日本では全国各地に多くの温泉がありますが、なかでも北海道には温泉が多く存在しています。環境省の調査によると、2022年度の時点で全国に2,879ヶ所の温泉地がありました。うち230ヶ所が北海道の温泉地です。2位の長野県が194ヶ所のため、全国的にも多くの温泉が北海道に集まっているとみられます。
参照:令和4年度温泉利用状況 | 環境省
北海道に温泉が多い理由として火山と地下水の多さが挙げられます。
温泉の多くは地下水が火山により加熱されて生まれます。北海道には関東地方から続く「那須火山帯」と千島列島からの「千島火山帯」が集まっています。2つの火山帯により道南・道央・道東を中心に多くの火山が生まれて、地下水が熱せられやすくなります。
地下水は北海道の気候により蓄えられます。雪の多い北海道では多くの雪解け水が地下水として溜まりやすく、温泉に必要な水を豊富に用意してくれます。温泉向きの立地に恵まれて、北海道が多くの温泉を楽しめる土地になりました。
北海道の主な温泉
北海道には世界的に知名度の高い温泉地や知る人ぞ知る温泉地など幅広いスポットが存在します。温泉地ごとに異なる魅力を持っているため、多くの温泉地を知って好みに沿ったスポットを探しましょう。北海道内に存在する主な温泉地の例を以下で紹介します。
知内温泉
知内町にある「知内温泉」は、北海道最古の温泉地として知られます。鎌倉時代の1247年から始まったとされており、開湯から800年近く経った現代でも多くの人々が訪れます。
天然湧出する温泉は塩化物泉が中心で、ほかにも鉄鉱泉・炭酸泉・明ばん泉などさまざまなお湯が湧いています。施設ごとに異なるお湯を楽しめるでしょう。杉や竹林などの北海道では珍しい自然も魅力的な温泉地です。
所在地:上磯郡知内町字湯の里284
アクセス:道南いさりび鉄道「木古内」駅よりバス、「湯の里温泉入口」停留所から徒歩
参照:知内温泉公式サイト
知内温泉「ユートピア和楽園」 | 知内町
湯の川温泉
函館市にある「湯の川温泉」は、良好な利便性と長い歴史を持つ温泉地です。江戸時代の1653年に幼年の松前藩主が湯治したことから始まり、戊辰戦争の際には榎本武揚らも入湯していたとされます。
主な泉質は塩化物泉で、心身のさまざまな不調を癒せます。名所が豊富な函館にあり空港にも近いため、湯治だけでなく観光の拠点としても有用でしょう。
所在地:函館市湯川町
アクセス:函館市電「湯の川温泉」停留所より徒歩
参照:函館湯の川温泉旅館協同組合
登別温泉
登別市にある「登別温泉」は、北海道のみならず全国的に有名な温泉地として知られます。幕末に建てられた温泉宿から始まり、現在では国内外から多くの観光・湯治客が訪れます。
1つの温泉から多くの泉質のお湯が沸く珍しい温泉地で、近隣の「カルルス温泉」とあわせて湯めぐりを楽しめます。地獄谷や大湯沼など温泉地ならではの絶景も欠かせません。入浴と観光で心身をリフレッシュしましょう。
所在地:登別市登別温泉町60(登別国際観光コンベンション協会)
アクセス:JR室蘭本線「登別」駅よりバス、「登別温泉」停留所からすぐ(登別国際観光コンベンション協会)
参照:登別国際観光コンベンション協会
ニセコ温泉郷
倶知安町・ニセコ町・蘭越町にある「ニセコ温泉郷」は、ニセコ周辺の美しい自然に囲まれている温泉地です。3町に点在する温泉地の総称で、ニセコアンヌプリや羊蹄山などの山々が近くにそびえています。
美しい山のふもとにあるため、四季折々の絶景を楽しめる温泉地です。アクティビティも豊富で、遊び疲れた体を温泉で癒せるでしょう。泉質は多種多様で、「泥温泉」と呼ばれる温泉も存在します。
所在地:虻田郡ニセコ町字元町77-10(道の駅ニセコビュープラザ 観光案内所)
アクセス:JR函館本線「ニセコ」駅よりバス、「ニセコビュープラザ」停留所からすぐ(道の駅ニセコビュープラザ 観光案内所)
参照:温泉 | ニセコリゾート観光協会
定山渓温泉
札幌市にある「定山渓温泉」は、「札幌の奥座敷」とも呼ばれて親しまれる温泉地です。幕末に開かれた温泉地で、アクセスの良さもあり現在まで人気を集め続けています。
札幌の中心街に近い立地ですが、周辺は非常に自然豊かな土地です。桜や紅葉など四季折々の風景を楽しめるでしょう。神秘的な滝やダイナミックなダムなども定山渓の魅力です。身近な土地で温泉旅行を楽しめます。
所在地:札幌市南区定山渓温泉東3丁目212(定山渓観光案内所)
アクセス:地下鉄南北線「真駒内」駅よりバス、「定山渓神社前」停留所からすぐ(定山渓観光案内所)
参照:定山渓観光協会
定山渓温泉街 | ようこそさっぽろ
層雲峡温泉
上川町にある「層雲峡温泉」は、雄大な大雪山地に囲まれる人気の温泉地です。北海道内でも非常に知名度が高く、古くからアイヌ民族の間にも知られていました。
石狩川上流の渓谷周辺に多くの温泉が集まっています。主な泉質は硫黄泉で、特に皮膚病の治療に活躍してくれます。壮大な景色や季節ごとのアクティビティなど、温泉以外の魅力も豊富な名所です。
所在地:上川郡上川町層雲峡(層雲峡ビジターセンター)
アクセス:JR石北本線「上川」駅よりバス、「層雲峡」停留所から徒歩5分(層雲峡ビジターセンター)
参照:層雲峡観光協会
豊富温泉
豊富町にある「豊富温泉」は、珍しい泉質を持つ日本最北の温泉地です。大正末期に行われた原油試掘の際に湧き出た温泉で、昭和に入ってから温泉地として整備されていきました。
豊富温泉で湧いているお湯は原油混じりの特徴的なもので、世界的にも非常に珍しい温泉です。肌の健康に大きな効能があり、特に皮膚病の治療や美肌効果などを求める人におすすめできます。周辺では湿原観光やゴルフ・スキーなども楽しめます。
所在地:天塩郡豊富町温泉(豊富温泉ふれあいセンター)
アクセス:JR宗谷本線「豊富」駅よりバス、「ふれあいセンター前」停留所からすぐ(豊富温泉ふれあいセンター)
参照:豊富温泉公式サイト
豊富温泉 | 豊富町観光協会
十勝川温泉
音更町にある「十勝川温泉」は、植物性の珍しいお湯を楽しめる温泉地です。昔からアイヌ民族が利用してきた温泉で、昭和初期から本格的に開発されています。
「モール温泉」と呼ばれる植物性の珍しい泉質が特徴です。太古の植物が堆積した亜炭層を通る温泉で、植物由来の有機物を多く含みます。独特な茶色いお湯は保温・保湿効果が高く、体を温めつつ美肌効果にも期待できます。
所在地:河東郡音更町十勝川温泉北14丁目1(道の駅 ガーデンスパ十勝川温泉)
アクセス:JR根室本線「帯広」駅よりバス、「ガーデンスパ十勝川温泉」停留所からすぐ(道の駅 ガーデンスパ十勝川温泉)
参照:十勝川温泉観光協会
川湯温泉
弟子屈町にある「川湯温泉」は、幅広い病気に対する湯治が可能な温泉地です。近隣で始まった硫黄採掘をきっかけに知名度が上がり、昭和初期に鉄道が開通すると観光客も増加して温泉街の発展につながりました。
摩周湖の水が硫黄山で温められた火山性の温泉で、主に酸性の硫黄泉を楽しめます。通常の入浴に加えて蒸気浴や飲泉など幅広い方法で温泉の効能を得られて、肌・消化器・呼吸器など多くの部位を癒せます。
所在地:川上郡弟子屈町川湯温泉2丁目2-6(川湯ビジターセンター)
アクセス:JR釧網本線「川湯温泉」駅よりバス、「エコミュージアムセンター」停留所からすぐ(川湯ビジターセンター)
参照:川湯温泉 | 摩周湖観光協会
川湯ビジターセンター
ウトロ温泉
斜里町にある「ウトロ温泉」は、知床の自然と一緒に楽しめる温泉地です。世界遺産に指定されている知床半島の温泉で、オホーツク海を望む高台と港のそばに複数の旅館や民宿が点在しています。
知床に広がる美しい大自然を間近に感じられる立地で、山だけでなく海も楽しめる温泉地です。海に沈む夕日や冬の流氷などを温泉から眺めて、知床ならではの絶景を楽しみましょう。
所在地:斜里郡斜里町ウトロ西186-8(道の駅 うとろ・シリエトク)
アクセス:JR釧網本線「知床斜里」駅よりバス、「道の駅うとろ・シリエトク」停留所からすぐ(道の駅 うとろ・シリエトク)
参照:ウトロ温泉 | HOKKAIDO LOVE!
北海道の温泉旅行での楽しみ方
温泉地に旅行するとさまざまな形で楽しめます。旅館でゆっくり過ごしたり活発に観光したりと、温泉や北海道の魅力を存分に味わえるでしょう。自分に適している楽しみ方を探してみてください。北海道での温泉旅行における楽しみ方の例として以下のものが挙げられます。
入浴する
温泉旅行での基本的かつ大きな楽しみ方として入浴が挙げられます。自宅より大きな浴槽でゆったりとくつろいで、温泉水のさまざまな効能をたっぷりと感じましょう。温泉地によって幅広い泉質のお湯が利用されており、それぞれ異なる雰囲気や効能を味わえます。湯治として温泉での不調回復を図る場合は複数日の滞在が有効です。
出先である温泉旅行で入浴を楽しむ場合、入浴のタイミングに注意しましょう。チェックイン直後の疲れている状態や夕食での飲酒後などに入浴すると、低血糖や悪酔いなどを起こす可能性があります。温泉旅館の多くは部屋にお菓子が用意されているため、チェックイン後にお菓子とお茶でリラックスしてから入浴しましょう。糖分や水分を補給して安全に入浴できます。
周辺を観光する
温泉街や周辺地域の観光も温泉旅行の魅力です。温泉街には独特の風情や情緒があり、散策しているだけでも充実した体験が可能です。人が多くにぎやかな温泉地や静かで落ち着いた温泉地など、それぞれ異なる魅力を感じてみましょう。周辺のお土産屋で名産品を探す楽しみもあります。
周辺地域を観光する場合は旅行のタイミングも考慮しましょう。同じ土地でも季節や時間帯によって異なる姿が楽しめる一方で、場合によっては訪問できないタイミングの可能性もあります。北海道のような雪国では冬場に閉鎖されるスポットも少なくないため、事前に観光ルートを問題なく回れるか確認しておきましょう。
食事を楽しむ
旅行先でのさまざまなグルメを楽しむ食事面での魅力も挙げられます。旅館や周辺のレストランなどで地場の食材や料理などを食べられます。海沿いの温泉地ならば魚介を、山間部ならば山菜を中心に美味しい料理を楽しめるでしょう。温泉地やグルメの種類によっては食べ歩きが可能な場合もあります。温泉まんじゅうやソフトクリームなどと温泉街の風情を一緒に味わってみましょう。
温泉地によっては温泉卵も作れます。高温の源泉で卵を茹でるもので、トロっとした食感が美味しい温泉グルメです。一般的に茹で上がるまで時間がかかります。野生動物に盗まれないよう注意しつつ、温泉街を散策しながら待機しましょう。
温泉水を飲む
温泉地によっては温泉水を「飲む」形で楽しめる場合もあります。「飲泉」と呼ばれる利用方法で、主にヨーロッパの温泉地でメジャーな方法です。入浴と異なり温泉水を直接体内に取り込むため、内臓を中心に幅広い疾患への効能が期待できます。塩化物泉ならば萎縮性胃炎や便秘、硫黄泉は糖尿病や高コレステロール血症のように泉質による違いもみられます。
参照:3 療養泉にはどんな種類があるの?~泉質別適応症 | 環境省
飲泉は温泉によって認められていない場合もあるため、必ず飲泉可能か確認しましょう。飲泉可能な温泉であっても、専用に用意されたお湯を適量飲むようにしましょう。病状によっては飲泉できないケースもあります。ルールを守りつつ、珍しいミネラルウォーターとも考えられる温泉水を飲んでみましょう。
温泉水のようなミネラルウォーター類についてはこちらの記事も参考にしてください。
何もせずリラックスする
旅行先であえて何もせず、ゆっくりとリラックスして過ごす楽しみ方もあります。旅行に行く場合、必ずしも観光スポットやグルメを回る必要はありません。旅館にこもって読書したり景色を眺めたりしつつ過ごして、気が向いたタイミングで温泉に入りましょう。慌ただしく息苦しい日常生活から離れて、何もしない「暇」を楽しめます。
旅行先で何もせずに過ごす場合、可能であればスマートフォンも家に置いていきましょう。仕事上の連絡やソーシャルメディアなどに縛られている日常から自分を切り離せます。また、移動時にも地図を見たり人に道を聞いたりと現代では新鮮な経験も可能です。スマートフォンを持たずに旅行する際は、身近な人物に旅行の旨を伝えておきましょう。
スマートフォンを使わずに生活する「デジタルデトックス」についてはこちらの記事も参考にしてください。
まとめ
北海道の温泉について、主な温泉地や温泉旅行の楽しみ方などを紹介しました。広大で火山も多い北海道には多くの温泉が湧いており、さまざまな泉質・環境の温泉を楽しめます。温泉は楽しみ方も幅広いため、自分の好み・気分・体調などを考えて自由な温泉旅行が行えるでしょう。
温泉は古くから医療目的で利用されており、現代でも心身の健康維持に活躍してくれます。寒冷な北海道では温かい温泉が特にありがたく感じられるでしょう。ストレスの多い現代社会を乗り切るべく、地球からの贈り物である温泉を積極的に活用してみてください。