「職場の話し声や人の出入りに気をとられて帰るころにはぐったり疲れてしまう」「誰かが注意されている声を聞くだけで自分まで苦しくなってしまう」というように、自分はHSPなのかもしれないと感じながら、働くことのつらさを抱えている方もいらっしゃるかもしれません。そんな中で就労継続支援A型事業所という働き方を知っても、HSPの場合にA型事業所を利用できるのかどうかを知ることは難しいですし、よく分からないですよね。

この記事では、HSPと病気や障がいとの関係と、HSPの方がA型事業所を利用するための条件、職場を選ぶときに確かめておきたいことをお伝えします。後半では、札幌市豊平区にあるA型事業所「ユーリード福住」の職場の様子もご紹介します。

HSPは「気質」を表す言葉で、病気の名前ではありません

HSPとは、刺激を深く受け取りやすい気質のこと

HSPは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとった言葉で、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が1990年代に提唱した考え方です。日本では「繊細さん」と呼ばれることもあります。

HSPの特徴は、物事を深くじっくり考える、光や音、においなどの刺激を強く感じやすい、人の気持ちに共感しやすい、まわりの小さな変化によく気がつく、という4つで説明されています。仕事の場面にあてはめると、電話の音や話し声で疲れてしまったり、職場の誰かの機嫌が気になって作業に集中できなかったりすることもあるかもしれません。

医療機関で「HSP」と診断されることはありません

HSPは生まれ持った気質を表す考え方で、病気や障がいの名前ではありません。医師が心の病気を診断するときに使う基準(DSM-5)にも載っていないので、医療機関で「あなたはHSPです」と診断されることはありません。

ちなみに、HSPと発達障がいは別のものですが、似たような特性として表れることもあると言われています。

HSPでもA型事業所は利用できる?

A型事業所を利用するのに必要なのは「受給者証」

就労継続支援A型(以下、A型)は、障がいや病気があって、今すぐ一般の会社で働くのはむずかしいけれど、サポートがあれば雇用契約を結んで働ける方のための障がい福祉サービスです。雇用契約を結ぶので、働いた分のお給料は最低賃金以上で支払われます。

A型を利用するには、住んでいる市区町村で「障がい福祉サービス受給者証」(以下、受給者証)の交付を受ける必要があります。障がい福祉サービスの対象として国が定めているのは、身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)、難病などによって障がいのある方で、障がい者手帳を持っていなくても、医師の診断書や意見書などをもとに判断されて、受給者証を受け取れる場合があります。

障がい者手帳と受給者証の違いについては、
就労継続支援A型に障害者手帳は必要?受給者証との違いと申請の流れ
の記事で詳しくお伝えしています。

HSPという気質だけでは、対象になりにくいと言われています

HSPは診断名ではないので、医師が「HSP」という名前で診断書を書くことは基本的にありません。そのため、HSPの気質があるということだけで受給者証を受け取るのは、むずかしいと言われています。

とはいえ、HSPの気質がある方が、仕事や生活のストレスから心や体の調子を崩して、医療機関で適応障害や不安障害、うつ病などと診断されることもあります。そうした場合は、医師の診断書や意見書をもとに、働くうえで支援が必要な状況かどうかを、お住まいの市区町村が判断することになります。必ず利用できるとは一概には言えませんが、HSPだからといって、A型で働くことははじめから考えられないと決まっているわけではありません。

心や体の調子がすぐれない日が続くときは、医療機関に相談してみる

心や体の不調が続いている、強い不安や気分の落ち込みがなかなかおさまらない、仕事や毎日の生活に支障が出ている、というときは、受給者証のことを考える前に、まず自分の心と体のために、心療内科や精神科に相談してみてもいいのかもしれません。すでに通院している方は、働くことについて困っていることや、A型を利用してみたいと考えていることを、主治医に伝えてみることもできます。

札幌市では、受給者証の申請の窓口は、お住まいの区の区役所にある保健福祉課です。申請のあとには、調査員による心や体の状況の調査があり、どんなサービスをどのくらい使うかをまとめた「利用計画案」を、相談支援事業所に作ってもらうか自分で作って区役所に出します。サービスによっては支給決定までに2か月程度かかることもあると案内されているので、働きたい時期が見えてきたら、早めに相談しておくと慌てずにすむのではないでしょうか。

HSP気質の方が、A型事業所を選ぶときに確かめておきたいこと

A型事業所は、事業所ごとにお仕事の内容も、働く場所の様子も違います。刺激や人の気持ちに疲れやすいと感じている方にとっては、どんなお仕事をするかと同じくらい、どんな場所で、どんなふうに人と関わりながら働くのかも、確かめておきたいところですよね。

作業中の音や、人の気配

同じ「落ち着いた職場」でも、話し声がどのくらい聞こえるのか、電話が鳴ることはあるのか、BGMが流れているのか、席と席のあいだはどのくらい空いているのか、人の出入りはどのくらいあるのかは、事業所によって違います。どの刺激がどのくらい気になるかは人によって違うので、自分が何に疲れやすいのかを少し思い浮かべてから事業所を調べると、見るところがはっきりするかもしれません。

こうしたことは、紹介ページや求人の文章だけではなかなか伝わりにくいところなので、実際に利用者さんが働いている時間に見学をすると、その事業所が自分に合った事業所かどうかを確かめやすいと思います。

人とのやりとりの量と、体調の伝え方

作業中にどのくらい会話があるのか、お客様とやりとりをするお仕事なのか、というように、お仕事の中で人とやりとりする量も、事業所やお仕事によって違います。

また、人の気持ちに敏感だと、体調がすぐれない日に「休みたい」「少し休憩したい」と伝えるまでに、相手の都合を考えて疲れてしまうこともありますよね。体調のことをどうやって伝えるのか、職員に相談したいときはどうすればいいのかも、見学のときに聞いてみることができます。

札幌市豊平区のA型事業所「ユーリード福住」の職場の様子

次からは、札幌市豊平区福住にある就労継続支援A型事業所「ユーリード福住」の職場の様子を、音や人とのやりとり、体調の伝え方にそってご紹介します。

ユーリード福住はA型事業所なので、雇用契約にもとづいて、平日の9:30~15:00に毎日出勤することが基本です。とはいえ、体調が悪い日や通院などの事情があるときに、休んだり、遅刻や早退をしたりすることももちろんできます。

BGMは流れていますが、作業中の会話はお仕事の確認や相談がほとんどです

ユーリード福住の事業所の中は木目調の壁で、広々としていて明るく、天井が高いつくりです。事業所内にはBGMが流れているので、音がまったくしない環境ではありません。音のしない場所を探している方は、BGMの大きさが自分に合うかどうかも、見学で確かめていただけたらと思います。

利用者さんどうしの会話は、作業に関する確認や相談がほとんどです。雑談に加わらなくても大丈夫ですし、加わりたくなったときは自分のペースで加わることができます。

9:30からの朝礼では、その日の外部の人の出入りやお弁当のメニューなどの連絡事項が伝えられて、3分ほどで終わり、利用者さんが一人ずつ何かを話す時間はありません。小さなことですが、その日に外部の人が来る予定を朝のうちに知っておけるのは、人の出入りが気になる方にとって助かるところかもしれません。

玄関を入ってから退勤するまでの事業所の様子については、
札幌のA型事業所・ユーリード福住の日常はどんな感じ?利用者が1日の様子をレポート!
の記事で、実際に働いている利用者さんが写真つきでお伝えしています。

席の仕切りを使うことができ、休憩やお昼休みは一人で過ごしても大丈夫です

ユーリード福住では、席で隣の人とのあいだに仕切りを使うこともできます。

休憩は、12:00~13:00のお昼休みのほかに、10:40~10:50と13:50~14:00に10分ずつあります。この10分の休憩はお給料の発生する勤務時間に含まれていて、トイレに行ってもいいし、スマホを見ていても大丈夫で、過ごし方は自由です。

お昼ごはんは自分の席で食べます。お弁当を注文することもできますし、コンビニに買いに行っても、外食をしてもOKです。誰かと会話をしてもいいし、しなくても大丈夫なので、一人で静かに過ごしたい方は一人で自分なりの過ごし方をすることができます。

作業中や休憩中に、気をつかわずにすむ場面については、
職場で気をつかいすぎて疲れてしまう方へ。札幌のA型事業所・ユーリード福住はどんな職場?
の記事でも、一日の流れにそって詳しくお伝えしています。

体調のことは、毎日の日報で職員に伝えることができます

14:45になると、身の回りの整理整頓や掃除をして、その日の日報と業務内容の報告を、チャットワーク(仕事で使うチャットのサービス)で送ります。日報に書くのは、その日の業務内容、次の日の予定、体調報告、気づいたことの4つです。

体調報告が毎日の決まった連絡事項になっているので、体調のことを自分から切り出すタイミングを探さなくても、日報に書けば伝わります。また、勤務時間中は職員が定期的に利用者さんの様子を見に来てくれるので、分からないことや困っていることがあるときも、こちらから呼び止めなくても声をかけてもらえます。

お仕事の多くはパソコンを使います

ユーリード福住のお仕事には、データ入力、ライティング・事務作業、ホームページ・アプリ作成、デザイン、動画作成・編集、ネット販売代行、市場調査レポートの作成などがあり、その多くはパソコンを使うお仕事です。パソコンを使うお仕事のほかに、札幌市内の調理店舗で働く飲食のお仕事(施設外支援)もあります。

ネット販売代行は、ECサイト(インターネット上のお店)への商品の登録や在庫の管理、注文の受付、お客様への対応などを代行するお仕事で、お仕事によってはお客様とのやりとりが含まれるものもあります。どのお仕事でどのくらい人とやりとりするのかは、見学のときに聞いてみることができます。

お仕事の多くがパソコンを使うものなので、ユーリード福住では、「インターネットで検索ができる」「フォルダやファイルの扱いなどパソコン用語がひととおり分かる」「WordやExcelの基本的な操作ができる」などのパソコンの基本操作ができることを、働き始めるときの目安にしています。

パソコンに苦手意識がある方にご案内しているお仕事については、
【札幌】パソコンが苦手でもA型事業所で働ける?始めやすいお仕事と、必要な操作の目安
の記事で詳しくお伝えしています。

「できるを進めて、できないを補い合う」職場

人の反応に敏感だと、分からないことを聞いたときや、うまくできなかったときに、まわりにどう思われるかが気になってしまうこともありますよね。

ユーリード福住では、できないことを指摘するのではなく、「できるを進めて、できないを補い合う」チームになることを大切にしていて、落ち着いた雰囲気の中で、利用者さんそれぞれが自分のお仕事に集中できる環境づくりを心がけています。お仕事の進め方も、本人の気持ちを置き去りにして決めることはせず、必ず説明をしています。

また、利用者さんがお給料に見合ったお仕事ができるようになって自信を持てるように、利用者さんのお仕事に対する自立心を育てていくことも大切にしています。

音や席の様子も、札幌のA型事業所・ユーリード福住の見学で確かめてみませんか

BGMの大きさや席のまわりの様子、利用者さんどうしの会話の量が自分に合うかどうかは、文章を読むだけでは決めきれないところもあると思います。ユーリード福住では、「働いてみようかな」と迷っている段階でも、軽い気持ちで見学においでいただけたらと思っています。見学では、利用者さんが働く様子や、事業所の落ち着いた雰囲気を感じていただけます。

ユーリード福住では、見学の申し込みをいつでも受付中です。見学は、利用者さんが実際に働いている様子を見られる平日の9:30~15:00に行っていて、1時間弱で終わります。受給者証の手続きが済む前の段階でも見学はできます。見学の申し込みは電話やお問い合わせフォーム、メールで受け付けています。「見学の申し込みという段階ではないけれど、まず電話で話だけでも聞いてみたい」というお問い合わせも歓迎しています。

ユーリード福住は、地下鉄東豊線の福住駅1番出口から歩いて4分のところにあります。東豊線はさっぽろ駅や大通駅も通っているので、札幌の中心部からも通いやすいです。

見学や体験、採用までの流れについては、
【札幌】A型事業所ユーリード福住の見学・体験・採用までの流れを詳しく解説! の記事で詳しくお伝えしています。